現実世界は一度きり【茅ヶ崎至】 (ページ15)

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第15話ページ15

今日は夏組の稽古を見せてもらい、久方ぶりのMANKAI寮にお邪魔している。

天「Aさんのアドバイス分かりやすかった。ありがとな」

「え！！ほんと！！嬉しいなぁ皇天馬に褒められたって家宝にする！！」

幸「家宝って‥どうやってするんだか」

「うわぁぁぁ！！！」

一「大丈夫だよん今の流れは録画してるんだよねん」

「流石だよカズくん！！！！」

「「イエーーーイ！！！」」

幸「声大きすぎ」

今日は土曜日で他の劇団員も寮にいる率が高く、口煩い綴はシトロンくんに捕まっている。

茅ヶ崎さん一度も見てないけどお出かけかな？

「カズくん、茅ヶ崎さんってお出かけ？」

一「ん～多分部屋かな！土曜日だし！」

「そうなんだ」

タイミングが分からずそわそわする。

茅ヶ崎さんは今度コーヒーでって言っていたけれど家の近くのケーキ屋さんでクッキーを買ってきてしまった。

甘いもの嫌いだったらどうしよう。

もちろん不器用だからお菓子作りなんてできないけど、こらは気持ちの問題だからね。

一「なになに～？いたるんに用事？」

「あ、えっとなんと言いますか、あの」

東「さっき至ならトイレに行ってるの見たから起きてるとは思うよ案内しようか？」

一「あっそれいい～！アズーが一言掛けたら怒らないと思うし」

「おっ怒る？仕事中とかだったらまた後で‥」

東「ふふ、大丈夫だよ」

初めて話す東さんは優しく笑って茅ヶ崎さんの部屋の前まで案内してくれた。

優しくドアをノックして「至、いるかな？」と声をかける。

数秒静寂に包まれていたけれど急にドアが開いて人影が現れて息を飲む。

至「東さん‥ちょっと今忙しく‥て」

東「ごめんね、邪魔しちゃったかな？お客さんを連れてきたよ」

至「‥」

ごゆっくり、といい笑顔で言って私は茅ヶ崎さん？の前に立ち竦む。

「あの、えっと、茅ヶ崎さん？」

至「‥人違いです」

そう言ってドアを閉めようとする茅ヶ崎さんは完全に茅ヶ崎さんの綺麗な顔で私の好きな綺麗な声をしていた。

ちょんまげをしてスカジャンというスタイル以外は私の中にある茅ヶ崎さんだ。

「あ、あのっ、待ってください！！！」

至「‥何？」

「これ！！！！」