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今回のオファーでは、テレビなどで放映されるプロモーション映像と、中国のファッション雑誌数種類の撮影を一挙に行うことになっている。
1日かけて行われるので、体力勝負な現場になることが予想されていた。
涼「大丈夫？」
腕を組んでレッドカーペットを歩くシーンのリハ中に、涼太が小声で話しかける。
「大丈夫やで？」
涼「眠そうな顔してますよ(笑)」
「失礼やな(笑)」
元からや、と突っ込めば、自然な笑顔が戻ったように見えた。
午前中いっぱいを中国で流されるテレビCM用の撮影に当て、ようやく一旦休憩の時間がやってきた。
涼「なかなか長丁場っすね」
「ほんまやなー」
2人は楽屋で用意された昼食を食べようとしていた。
「めっちゃお腹すいた」
涼「朝食べてないんすか」
「食べてない。起きとくので精一杯やった(笑)」
涼「そんな追い込まなくても(笑)」
2人は弁当を開けると、いただきますと手を合わせ、口へと運び出す。
しかし、お腹が空いたと言う割にはあまり食が進んでいないAに気付いた涼太は、悟られない程度にAの様子を伺った。
涼「これ食べないんですか」
「え？あー、うん。いるならあげるよ」
涼「じゃあもらおっかなー」
「どうぞ」
自分の箸で取ったおかずを、涼太の弁当に移す。
涼「お腹すいてるんちゃうかったんすか」
「すいてるけど...あんま食べたら、ドレスに響くかなって」
すぐ胃出るから、とA。
涼「答えたくないなら無視してくれていいんですけど」
「ん？」
涼「昨日龍友くんと何かありました？」
実は龍友と喧嘩でもしたのではないかと踏んだのか、そんな質問をしてきた。
「何もないけど、あるように見えた？」
涼「何となく。昨日何かあったんかなって」
「ほんま普通やで？」
会ってもないのに喧嘩もできへん、とA。
涼「でも絶対なんかあったでしょ」
おかしいもん、と出会った頃のように変わらぬ能力を発揮する涼太。
「韓国から帰ってきて会議して寝られへんかったからやって」
涼「ほんまに？」
「ん...」
涼「僕に嘘ついたら覚えといて下さいね？」
キスしますよー、と笑いながら冗談を言ったつもりの涼太だったが、Aの過剰な反応に思わず笑いも引いていく。
涼「え、誰かにキスされたんすか」
「いや...そのー...」
涼「浮気したわけないですよね？」
「するわけない」
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作者名：べてぃ。 | 作成日時：2020年4月17日 23時
