Day6.(後編) ページ8
目を開けると自室の天井だった。ベッドの上に横になっている。デジャヴのような光景だが違うのは隣にいるのがアヴィリオだということ。
「質問に答えろ」
目を覚ましてそうそう銃を突きつけられる。
「最悪の目覚めだ」
「質問にだけ答えろ。お前は何者だ」
「…分からなくなった」
アヴィリオから目線を外し軽く俯く。
「何故アヴィリオ･ラグーザを知っている」
「知らない、頭の中で廻るの。知らない情景が…分からないよ…」
「ふざけているのか」
「ふざけてない…言うよ、この情景のこと。幼い君と、コルテオと、オカッパの小さい子がいる。ろうそくの火を手で消そうとしてる。その後かくれんぼをするんだ。そしたら家に誰か来て、」
ここで言葉に詰まる。この視点は、私はこの場にいたのか…？全く記憶にない。
あぁ、どうして…。
「銃声、女の泣く声、銃声。その後家は燃えた」
ここでシーンは終わっている。もしかして…
「アンジェロ･ラグーザは…君かい？」
そう尋ねると銃を静かに下ろした。
「……ジェーンの言葉に心当たりは？」
「…はは、こんな形で再開するとは…兄さん」
この情景はすべて自身が見たものだった。これは幼い頃の私の記憶。私の名前はジェーン･ラグーザ。
「会えてよかった…無事でよかった」
「兄さんこそ、このことは言わない方がいいのよね」
「理解が早くて助かる。」
「コルテオとも話がしたくなってきた！」
物知りだけどちょっとビビリなコルテオ。優しくて勇敢な兄。そうか、両親とルーチェ兄さんは……。
「そういえば誰に襲撃を受けたんだ…？」
「…………さぁな」
明らかごまかすような態度のアヴィリオ。
いや、あれ…ネロの、最初の仕事って……あは、は…まさか…え？
結びついた線と線は残酷な真実を知らせただけだった。
「まっ、その時の記憶はあまりないし、私にとってはここも第二の家族だから！」
「…そうか。何より無事でよかった」
「アヴィリオも、気をつけてね。」
彼は軽く手を振り去っていった。アンジェロ兄さんはきっと復讐をするつもりなんだ。でもそれを密告することは出来ない。あーあ、ここ、好きだったのになぁ…。
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作者名：上田 | 作成日時：2017年6月6日 23時
