Day10.(後編) ページ13
「バルベｯ…んん……！！？」
ドアが閉まると同時に壁に追いやられ唇を奪われる。呼吸ができなくて頭がくらくらする。一瞬離れた隙に空気を吸おうと口を開くとそこから舌を入れられる。
なんで、なんで、なんで…。
精一杯の力で突き飛ばす。
「はっ…はぁっ……なんで…？」
「…お前はアヴィリオ達の仲間なのか？」
「………私は誰の敵でもない…」
「俺たちを裏切らないと言えるか」
「多分、どちらの味方にもなれない…」
そう言うと彼は微笑んだ。
「お前らしい答えだ。」
彼は私の両耳に手を当て外の音なんて一切聞こえないようにして深い深いキスをした。リップ音だけが脳内に響く。
目からは一筋の涙が零れた。
目を開けると見知らぬ天井だった。自分にはシーツが被せてあり横を見ればバルベロがシャツを着ている最中だった。
「目が覚めたか…身体は平気か？」
「……うん。」
昨日のことを思い出す。なんだか気恥ずかしくて目線を合わせられなかった。
「……悪い。完全に俺が勝手をした」
「いいよ。」
好きという感情を抱いてもこの想いは伝えることは出来ない。伝えたとこで彼には荷物になってしまう。
「あぁ、じゃあ私のことジェーンって呼んで。」
「それがお前の本名なのか」
「……バルベロ、お願い。」
シーツで身体を隠し体を起こす。近づいてくるバルベロの頬に手を添えて唇を近づける。
「ジェーン、…っ…」
「バルベロｯ………」
好きだって言いたい。
愛してると伝えたい。
あぁ、こんなに想っているのに…。
言葉に出来ないもどかしさをキスで誤魔化した。
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作者名：上田 | 作成日時：2017年6月6日 23時
