番外編-喧嘩(前編) ページ46
「トーンちゃん」
愛しの彼女が甘えた声で俺を呼ぶ。このトーンの時はいつも呼んだだけの場合が多い。が、俺は何?と返事する。
「んーん。なんでもー。」
そう言って彼女は俺の背中に頭をぐりぐりとなすりつける。彼女がこうも甘えたなのは…、
「やだぁーー。二ヶ月会えないのは寂しすぎるよぉ!!」
明日から2ヶ月ほど彼女は任務でこの城を離れる。割と稀にだがこういう長期の任務も入る。
「駄々こねるんやない、任務やからしゃーないやろ」
「私は離れたくないもん…」
「……」
俺だってそうだ、なんて言うのは彼女をめちゃくちゃ喜ばせることになるかやる気を削ぐだけだ。
「あ〜〜トンちゃん充電中〜」
なんてグリグリされれば可愛いのなんのって。俺は必死に理性を保つ。
「…。」
はぁ、と背後からため息が聞こえたと思ったらしょぼしょぼと部屋を出ていく彼女。
部屋を出て大きく息を吸いこんだ。
「トンちゃんあーーーほ!!!チキン野郎が!!!」
と急に叫びだした。
ほかの部屋から野次馬が集まる。
「豚のくせにチキンか…。」
「ぶっふぉwww」
「来世はカルビかな?www」
各々好き勝手言ってくれる。当の彼女は頬をぱんぱんに膨らまし睨みつけてくれる。
「このカルビ野郎!!!」
と言って走り去っていった。
「採用wされたンゴwww」
「おい、誰かトントン励ましたれって…」
「嫌やわ…俺怒らす自信しかねぇもん」
「俺もや。」
や
トントンは誰が見ても落ち込んでいる。が、仕事をこなす手を休まるところを知らない。優秀である。
あの後どうやらトントンに知らせずAは任務に向かったらしく今後2ヶ月喧嘩したまま会えない状況のようだ。
やったやったやらかした…!!
怒りに身を任せ出てきちゃったけど会えないの辛すぎる…!
あー、帰ったら怒られるかなぁ…いや、そもそも話してすらもらえなかったらどうしよう…別れ切り出されたらどうしよう…!?
とりあえず任務に集中しなきゃな。
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作者名:上田 | 作成日時:2017年1月27日 10時