番外編-洋服 ページ38
以前オスマンとひとらんらんに買ってもらった服。記憶戻るまでは来たことなかったがせっかくだしと思い、着替える。
飾りすぎなくて、それでいて可愛らしさを兼ね備えている。やはり彼らのセンスはいいな。
「あれ、やっと着てくれたん?」
とオスマンと出会った。私が彼らの選んだ服を着てるのがすぐにわかったのだろう。
「そう!ごめんね、あの時は着れなくて」
「ほんまや〜超寂しがったんやで?」
彼は可愛く言うが、
「あはは。思ってもないくせに」
「相変わらずの辛口やんな」
「…もう元通りだから!ありがとね。」
そういうと優しげに微笑んで頭をクシャとなでられた。
「あ、着てる」
続いて狙ったかのようにひとらんらんに出くわす。
「さっきマンちゃんにAに会ってみって言われたんだけど、こういうことだったのね」
「らんらんもありがとね!」
「いーよ。いつも畑仕事手伝ってもらってるし。」
「いつでも手伝うから!…あ!でもこの服ではやらないよ!」
「それがいいね。せっかくの服だから。トントンでも…あ、いや…それでトントンには会わない方がいいかもね。」
「…そうやね。」
ひとらんらんの顔がいきなりひきつる。
自分の背後から聞き覚えのある声がする。
「トンちゃん!」
「それ、どうしたん?」
私の服を指さすトントン。
「これ?マンちゃんとらんらんがね、買ってくれたの。」
「へぇ…?」
ひとらんらんは目を逸らして一歩後ずさる。
あ、そういうことか。
「うん!トンちゃんがね、私に冷たくするからかわいそうに思ったらんらんとマンちゃんが買ってくれたの。トンちゃんが悪魔とか裏切り者とか言って私をいじめて来るから、かわいそうに思ったふたりが」
「わ、わかった!それはすまんて…」
トントンが先に根を上げた。
私はひとらんらんの方を向きニコッと微笑む。意図を汲み取ったのかふっとほほえむ。マスクをずらし「助かった」と言った…ような気がする。
苦々しい顔をする愛しの彼を見て
「今度は一緒に買い物行こうね!」
と言って小指を結んだ。
これからは今までできなかったことなんでも一緒に出来るよ!
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作者名:上田 | 作成日時:2017年1月27日 10時