30話目-彼の話(後編) ページ33
彼女が消えて1週間後。
いなくなった彼女の部屋を訪れる。
彼女は二度死んだ。
1度目は記憶喪失の悪魔となって現れたけど、次はまた現れてくれるだろうか。
驚いた。
だって裏切ったと思ってた最愛の人がボロボロで城の前で倒れてるのだから。俺は急いで医務室に運んだ。
そしたら記憶が無いだって。
話し方も随分と変わっていた。
嘘だと思ってた。
ほんとは覚えてるんじゃないかって。
でも全然覚えてなくて。
そしたら次また雰囲気変わっちゃって。
今度はなにか思い出したみたいだったけど確実に俺のことは思い出してなくて。
裏切り者ってわかってる。騙されてたんだって。憎くて、辛くて…
…なのに、君との思い出に触れる度、愛しくって切なくってたまらないんや。
もう違う人格ってわかってんのに、たまに見せるあどけない笑顔、俺を呼ぶ声。全部が愛しくて…。
情けないなぁ、俺。
タンスを開ける。そこにはいつも通り純白のワンピースが……ない。
おかしい、あいつが来る前はあそこに…
もしやと思い机の引き出しを開ける。
机の一番下、指輪のケースもない。
…あいつが持ってった?
金にでも変えよう思っとんのか。
そんなん…いや、そうしてくれた方がええんかな。
俺はあいつを忘れた方が幸せなんかな。
✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼ ✼
次回最終回です。
ほぼ毎日投稿で、なんだかんだで30話!
だいたい15日くらいですかね。
ここまでお付き合いありがとうございました!!もう少しお願いします!!
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作者名:上田 | 作成日時:2017年1月27日 10時