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peach and blossom 2 ページ17

ガチャリ、とドアを開けると、いつも通り飄々とした笑顔を提げた太宰君が立っていた。


「やぁ、千田さん。どうしたんだい、急に。」

『私太宰君に家を教えた記憶がないです』




...沈黙。




「それくらい、調べれば判るよ?」

『いやどうして私が異常みたいな言い方してるの』


当たり前でしょ?みたいな顔をする太宰君。

全くもって当たり前なんかじゃない。


『法に触れたり...してないよね』

「まぁ、一寸だけ」

『え!?本当に!?』

「嘘だよ」

『殴るよ』

「中也みたいなことを云わないでくれよ」

『...あっ』


そうだ、すっかり忘れてた。中也君の名前で思い出した。


結局使うことのなかったバッグから、袋を取り出す。


それを太宰君に渡した。




『お誕生日おめでとう、太宰君。いつもありがとう』





「...」


太宰君は驚いた顔でそれを受け取り、





開いて食べた。






『なんで!何で食べちゃうの!』


「いふぁ、ひょっふぉよふぉうふぁいふぁっふぁ」

『食べてから喋って!?』


「一寸予想外だった、と云ったのだよ。ありがとう、千田さん。」



急に真面目な顔に戻ってお礼を言う。

クルクル変わる太宰君の表情は、見ていて飽きない。


「ねぇ、A」



太宰君の優しい声が、私の鼓膜を揺らす。


...A?と顔を上げてみれば、ほんのり紅潮した太宰君の顔。


『ど...どうしたの』

「中也はいつもこんな思いをしているのか...なんか悔しい」

『え?』

「否?別に、何でもないよ。本当にありがとう。あと...」


と、1歩私の方に歩みよったと思えば、



私の額に何かが触れた。



「ふふ、可愛い」


何が起こったかを理解した瞬間、私の体内の血流がすごいことになった。


『な...な...!!』

「ありがとう、A。いつか君からこのクッキーよりも上等の物を貰えるように、私頑張るよ。」

なんで、こんなに飄々としているの...!?

ふふ、と笑って太宰君は最後に言った。


「中也に会う機会があったらさ、私がもう手加減しないって言ってたって伝えてくれない?」

『...わ...わかっ、た。』

「よろしく頼んだよ。じゃあ、また」


そう言うと太宰君は帰っていった。





額に手をやる。

あのとき彼の唇が触れた感触が、まだ鮮明に残っていた。




─────────────────────

クッキーの意味→友達
額へのキスの意味→友情、可愛い


太宰さん、お誕生日おめでとうございました!




生誕祭記念end

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 旧双黒   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:親子丼 | 作成日時:2018年5月9日 16時

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