13話 ページ13
その後森羅くんが帰ってきて夕飯を食べる時間になる
森羅くんはなにか思い詰めた顔をしていた
話を聞いてあげることはできるが、それはおそらく私の役目ではない
勝手だけど第8のメンバーだったら何でも受け入れてくれると思う
______
食事が終わり、皆で珈琲を飲んでいたとき
森羅が話があると言った
私は第8の隊員ではないし聞かれるのは嫌だと思う
そう思って
『私は戻りますね』
と言うと、Aさんにも聞いていただきたいですと森羅が控えめに言う
『え、でも私今日会ったばかりだし力になれないと思うよ』
森羅「力になってほしいとは思っていません、ただなんとなく聞いてほしいんです」
真っ直ぐな目で私を見る
『そっか、分かった!私で良ければ』
森羅「ありがとうございます」
森羅はジョーカーという男から聞いた話をする
森羅の弟、象日下部が生きているということ、そして彼が伝導者の仲間で騎士団長だということ
森羅「これが、ジョーカーから聞いた情報です」
桜備「なるほど…」
アーサー「だが、ジョーカーが言った事だ。信用できるのか?」
『森羅くんはさ、』
森羅「…はい」
『弟君が生きているって事を信じたい?信じたくない?』
命は大切だ
私の価値観と彼の価値観は異なる
でも、生きているかどうかを信じるか信じないか
その答えはおそらく――
森羅「信じたいです!」
森羅はそう答えた
桜備さんはポスッと森羅の頭に手を乗せ撫でる
桜備「だったら俺たちも信じるしかねぇよな」
火縄「伝道者を追う任務は変わらないが、森羅の弟がいることを前提として策を立てるぞ」
森羅「……っ、ありがとうございます!」
ホッと安心したような顔をする
そんな森羅に第8のメンバーも安心した顔に
弟……か……私にもいたな……
______
森羅「あの、Aさん、聞いてくれてありがとうございます」
『お礼を言われるほどじゃないよ』
ニコッと控えめに笑うと
顔を赤くし、引きつった笑顔をする森羅くん
森羅「Aさんが、信じたいかと俺に言ってくれたおかげで少し勇気が出たんです」
『そっか、』
森羅「Aさんは…『森羅くん、』…はい?」
『森羅くんは道を間違えちゃだめだよ』
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作者名:うどん | 作成日時:2024年3月21日 13時