３ ページ34
fkr side
コンコン、と伊沢達がいる部屋のドアをノックする。ついさっき、こうちゃんから『伊沢さんが疲れているんです』との報告を受けた。まぁそろそろだとは思ったがこんなに早いとは…
ドアの向こうから「どうぞー」と控えめな声が聞こえた。だが肝心な伊沢の声が聞こえない。
どうしてだろう、と思いながらドアを開ける。
『え、なにそれ羨ましい…』
「んふふ。伊沢さんがこうなるなんて珍しいですよね」
「僕ももう少し背が大きかったら…」
目の前にはこうちゃんの肩に頭を預けている伊沢と伊沢の両手をそれぞれ握っている２人の姿。山本は伊沢さんに寄り掛かられているこうちゃんが羨ましいのか羨望の目で見ていた。
いや、俺からしたら２人とも羨ましいんだけど！
「でも僕たち、この後少しやらなきゃいけない仕事あるんですよ」
「だから俺らの代わりに福良さんにここに居てほしいんです」
『確かに今の伊沢を１人にしてはおけないもんね』
『この後、河村と須貝さんも来るから。２人には伊沢のこと伝えといたよ』
「ありがとうございます」
俺はぐっすり眠っている伊沢に近づき、髪をさらりと梳く。いつものセットした髪ではなく、さらさらとした自然体の髪が気持ちいい。
「福良さん、俺と交代します？」
『ありがとう。ついでに伊沢を横に寝かせようか』
起こさないように伊沢をソファに寝かせると、２人は安心したように「お願いします」と言い、部屋を出ていった。
『馬鹿だなぁ…伊沢…少しでも良いから俺らを頼れよ…』
眠る伊沢を見ながら俺はこれくらいなら許されるだろうと思い、伊沢の頭を持ち上げ、自分の膝上に置いた。所謂、膝枕ってやつ。
携帯を弄りながら空いた片手で伊沢の手を握ってみる。
暫くして不意に手に温もりが重なったからそっちを見れば、伊沢が俺の手を握っていた。力は入っていないが、それが俺には何かに縋っているように感じた。
…だから、ついギュッと両手で包み込むのも仕方ないだろう。床に落ちた携帯はどうでもいい。少しでも伊沢の不安要素を取り除きたかった。
さっき、河村たちに伊沢が起きたときに食べれそうなものをお願いした。
彼らも俺らと同じ、伊沢を大事に思っている人たちだ。今頃、急いでスーパーに行っているに違いない。
それまで俺は伊沢と一緒に居るこの時間を大切にしよう。
続
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沐もく(プロフ) - うりのさん» そのお言葉だけでも嬉しいです！ワクワクに答えられるように頑張ります！いつでもリクは待ってますので気が向いたら是非！ (2020年11月3日 0時) (
レス) id: c403fa7950 (このIDを非表示/違反報告)
沐もく(プロフ) - ゆかり。さん» ほんとに嬉しいのです！ありがとうございます！ (2020年11月3日 0時) (レス) id: c403fa7950 (このIDを非表示/違反報告)
うりの(プロフ) - ごめんなさいリクエストじゃないです！CEO受けが大好きなのですが、いっつもワックワックしながら作品読んでます！いつかリクするかもです！ (2020年11月2日 23時) (レス) id: b85617cfab (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり。 - 沐もくさん» 喜ばせる天才だなんて…！ありがとうございます！！はい！リクエストはいつでも待ってます！！ (2020年11月2日 6時) (レス) id: b454d33225 (このIDを非表示/違反報告)
沐もく(プロフ) - ゆかり。さん» ゆかり。さんは喜ばせる天才ですか！嬉しいです！リクはハロウィンシリーズを終えてから書こうと思うのでもう少々お待ちください…！ (2020年11月1日 20時) (レス) id: c403fa7950 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沐もく | 作成日時：2020年6月16日 22時
