winter playlist (ページ1)

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桃色の冬ページ1

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「やべぇ、遅れる…」

Aとの待ち合わせ時間は17時30分

今は17時58分

30分もオーバーしている。

今日は雪が降りそうだなって感じの暗くて重い空の下

焦りに焦っております。佐久間です。

これ以上こんな寒空の中に彼女を待たせる訳にはいかない！と人混みに逆らってダッシュしているところであります！！！

今日は一年に一度の聖なる夜。

街には「きよしこの夜」が流れていてここら辺一体はクリスマス色に染っている。

久しぶりのAとのデートだからinクリスマスだし、

時間に余裕を持って家を出たはずなのに、

一生懸命横断歩道歩いてるおばあちゃんとか見捨てらんなんじゃん？

…はい、助けてたらだいぶ遅れました。

助けたことに後悔はしてないけど。

「もうつくからね！」なんて、メッセージを送ってからだいぶ遅れちゃったな…

すれ違うカップルたちは、手なんか繋いだり、寄り添ったり、
いーなー、俺もAとしたいなあー！

なんて思いながらAの姿を探す。

「あ！！！」

いた。

俺があげた「いつもの」赤いコートに「いつもの」グレーの毛糸のニットを着ている

毎年2人でよく通ったケーキ屋の中で
ケースの中のケーキたちを吟味しているあの人こそ、

俺の大好きで大切な人。

毎年そのカッコじゃん笑
今年でもう何回目よ笑

毎年恒例のこのいじり。

決まってAは

『いいの！佐久間が買ってくれたやつなんだから！』と、変える気はないらしい。

それは新しい恋人ができてからも変わんないらしい…、

ケーキを選び終えたのか満足気な顔でお店を出たAの横で新しい恋人くんも微笑んでいた。

よし、今年も見れた！！

あぶねえええ、間に合ったぜ…。

嬉しそうに目の前を通り過ぎるA、

けど、一瞬こっちを向いて、
首を傾げた。

なぁに？？そんなかわいい顔でコテンっして、可愛い、←

『…佐久間？…だいすけっ、』

Aは何かを追いかけようとした
向こうからは俺のことは見えないはずなのに、一瞬目と目があった気がした。