夕暮れ沿い〔ruab〕 ページ6
パロディ(ru:学生・ab:教師) / side ru
---------------
それは、ある日郵便受けに入っていた。
忘れたくて仕方がなかった、貴方からの報せだった。
「うわ...懐かし。」
川の向こうから見える夕陽に思わず声が出た。
高校を卒業して、大学入学のために上京してから約3年。久しぶりの地元だった。
お盆だって、正月だって、別に帰れなかったわけじゃない。帰りたくなかった。
親には事あるごとに有りもしない理由を付け、気づいたら3年も経ってた。
もう一生帰らないかもしれないなんて思ってたのに、まさかその理由本元から連絡が来たくらいで帰ってきちゃうんだから、俺はバカな男だ。
実家へと続く川沿いの土手道を歩く。
この道も俺にとっては特別な道だ。
もちろん、3年間通ってたってこともあるが。
川へと続く階段に腰掛け、3年ぶりの夕陽を眺める。
この景色はいつになっても変わらない。
夕焼け色の空も、少し遠くに見える鉄道橋も、今にも海に消えていきそうな夕陽も。
俺が胸にそっと、とっておいたものだった。
全部、忘れたいと願ってたのに。
忘れたふりして、目を背けてたのに。
目を閉じると、全ての情景が思い浮かぶ。
あれは、3年前の夏...
「...ぅる...ラウール！！」
「はい！！！！」
やっば、寝てた。
そう思った時にはもう遅かった。周りにはクスクスと笑い声をあげるクラスメイトと、目の前には彼の怒った表情。
「ラウールお前、授業中は寝ないって何回言ったよ。受験生なんだから授業くらいはちゃんと受けろ。」
「はーい、すみませーん。」
腰に手をあてて、ほっぺを膨らませて、プンプンッと効果音が聞こえて来そうな怒り方の彼は、"怖い"と言うより"可愛い"が似合う。
「次は気をつけるように。」
そう言って、少しだけ焼けた彼の右手は、俺の頭を無造作に撫でた。
"あべちゃん先生"
そう生徒に慕われてた彼は、俺の担任だった。
歳は詳しくは知らないが、先生の中でもまだ若い方の類にいた先生が、3年の担任だって聞いた時はクラス中大盛り上がりしたっけ。
それくらい、生徒に好かれる良い教師だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うどん(プロフ) - wさん» すみません、気づきませんでした。外しました。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月14日 10時) (
レス) id: f49343510f (このIDを非表示/違反報告)
w - オリジナルフラグを外して下さい (2019年11月14日 6時) (レス) id: 71eb22e258 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うどん | 作成日時：2019年11月12日 22時
