正々堂々殺ろうか ページ14
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亡者が刺そうとした包丁はいとも容易に交わされた。
それだけでは済まず、包丁を腕から捥ぎ取ると、患坂は首元へと突きつける。
「どうした、こんな捌きでは甘いぞ
殺れるものなら殺ってみろ」
「わっ」
「斬島、生者の手当てを頼む」
「解った」
斬島が生者の手当てに向かった所で、患坂は亡者へゆっくりと問う。
「…さて、このまま大人しく着いてくるならば私達は野暮な真似はしないが
どうする」
「ふ…
あはははっ、吃驚!」
「何がだ?」
「君、女の子でしょ?」
「⁉」
「それがどうした」
ビリッ
服の胸部が裂け、露出する。だが、患坂は恥じらいに隠すような仕草は見せなかった。
「小さいなぁ
でも、スタイルいいね」
「ッ、患坂!」
「…私がこれで恥辱を受けるとでも思っているのか
浅はかにも程がある、屑が」
グググ、と患坂は亡者の頸部をがっちりホールドする。プロレス技、"チョークスリーパー"である。
「ッガ…!!?」
本来窒息の恐れがある為禁止部類とされるが、相手は亡者だ。患坂はお構いなしで力の限り絞める。
「〜ッ…!
……」
「…」
「元々日本文化にはそういった男女別の恥じらいなどない。西洋文化が中途半端に入り混じるからだ」
亡者はあっさりと失神した。
所詮は見せ掛けのヘボ野郎だと、患坂は蠅を見るかの様な目で見下し(あくまでも斬島見解)、唾を吐く。
「…斬島、大丈夫か」
「あ…ああ
お前こそ…その、どうなんだ」
「ん…?私か?服が破けただけで、大した傷は無い」
「…そうか」
「あっ、二人とも、丁度終わったとこ、ろ…」
此方に駆け寄ってきたのは獄卒一の優等生、佐疫。なのだが、んがっと口を大きく開いたまま一時停止中になっている。
「佐疫」
「えっ、ま、まさか患坂、攻撃受けちゃった?」
「?、受けたが…かすり傷だ」
「そうじゃなくてあの…稀に可笑しな攻撃をしてくる敵がいるから…性別を変えさせたり、子供にしたりとか…」←
「安心しろ。私は元々女だ」
「うん…取り敢えず分かったから、俺の替えのシャツを着て」
「何なんだ佐疫まで…?」
固まる斬島と慌てる佐疫を見て、患坂は何故だと頭にはてなを浮かべるばかりだった。
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