25__颯太side ページ25
湧と別れ、ポツポツと並んでいる街灯に照らされた薄暗い道を一人で歩く。
こうやって一人になるとつまんないって思っちゃうんだよなあ。
イヤホンを付け、お気に入りの音楽を大きめの音量にして聞く。
もう少しで自宅に着く、というところで
マンションの前にタクシーが止まっているのが見えた。
…カップルかな？
女性の方は、少しよろよろとしていて。
それを彼氏と思われる男性が支えながら部屋へ向かう。
きっと酔っているんだろう。
けどあの女の人、なんか雰囲気Aちゃんに似てるな、なんて。
こんな時まで思い出しちゃうなんて相当好きなんだな、俺。
なんて思いながらもう一度視線を男女の方に移すと
本来Aちゃんが住んでいる部屋の中へと入っていくのが見えた。
颯「…あ、」
思わず声が漏れた。
なんとなく嫌な予感がして。
きっと、そんなことはないだろうけど
気づいたら走って、自分の部屋に向かっていた。
思いっきり階段を駆け上がったせいで、息が上がる。
Aちゃんの部屋の前で立ち止まる。
インターホンを押そうか、辞めようか。
その二択で葛藤していた。
颯「…やめよ。」
邪魔したら悪いし。
そう思い自分の部屋に戻ろうとした瞬間
中から物凄い物音が聞こえた。
それに重なるように、Aちゃんの声。
ここからは意識せず、勝手に体が動いていた。
颯「Aちゃん！！」
ドアが開かれた瞬間、そこに見えたのは
見知らぬ男がAちゃんを襲っている光景だった。
涙目で此方を見るAちゃんを見た瞬間
自分の中で何かが切れた。
＊＊＊
気付いたら、俺はドアの外で座り込んでいた。
背中がズキズキと痛む。
あの男はもう、この場にいなかった。
「颯太くんっ…大丈夫…？
私のせいでごめんね、本当に…」
涙目でずっと謝ってくるAちゃん。
そっか、もう終わったんだ。
良かった。
颯「…こわかった、」
安心して、恐怖が後から来た。
自然と涙が溢れる。
止めたいのに、止められない。
「私も怖かったよ」
そう言っているのに、Aちゃんは涙を流さず堪えている。
俺ばっかいつも泣いて。そんなの絶対
颯「かっこ悪いですよね、俺って」
いつも守れない。かっこ悪く終わってしまう。
そんな自分が大嫌いだ。
更に涙が出そうになったその時、
「…かっこ悪くなんか、ないよ」
_____
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たまるら(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです(><) (2020年4月9日 1時) (
レス) id: 14c0aebc4f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 設定がすごくリアルでめちゃくちゃきゅんきゅんします！更新楽しみにしてます！ (2019年6月28日 19時) (レス) id: a070df98c4 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 清良さん» ありがとうございます（ ; ; ）！頑張ります！ (2019年6月4日 1時) (レス) id: 522891c946 (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - いつも更新おつかれさまです！うっちーがかわいくて一人でニヤニヤしながら読んでます笑 応援してまーす！ (2019年6月3日 20時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴ | 作成日時：2019年3月24日 3時
