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試合が終わった後 、私たちは篤人くんが指定したお店にいた。私がここにいることを彼はおそらく知っているんだろう。妙に緊張してきて、手がじんわり汗で濡れ、先程から何度も水を飲んでいるのに喉の渇きは一向に潤わない。
「A、大丈夫?」
麻也たちの会話も全く入ってこず、生返事ばかり返す私に夏生は心配そうに尋ねた。それに対する返答もこくりと頭を縦に振るのがやっとな程、何も考えられなかった。
「こちらでご案内しております」
それからしばらく経ち、ようやく緊張が薄くなってきたころ、個室の外から店員さんの声が聞こえた。
「悪い、お待たせ」
心の準備が出来てないうちに篤人くんは私の目の前に現れた。彼は私の隣の空席に腰掛け、頬を人差し指で掻きながら"久しぶり"と呟いた。私はそれにもやはり頷くだけだった。
その後、それぞれのクラスの話や、文化祭での出し物はなんだったとか、保健委員のあの子は誰だったかとか、そんな高校の思い出話や卒業後の話で盛り上がったものの、私は篤人くんの顔をまともに見れず、夏生や麻也、水滴のついたグラスの方を見て話すばかりだった。
ふと携帯を見てみると、22時前だった。麻也と夏生も私につられて時間を確認した。
「そろそろ解散にしますか」
「私たち、もう少しブラブラしてから帰るから内田くん、Aのことお願いね」
カーディガンをもたもた羽織る私を置いて、二人は先に出ていってしまった。
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sara(プロフ) - ぼむさん» こんばんは。はじめまして。こんな暖かいコメントを頂いているのにも関わらず、相変わらず筆不精な作者を許して下さい。ホントにマイペースではありますが、更新させていただきますので、よろしくお願い致します。 (2015年3月31日 22時) (レス) id: 12f88f811d (このIDを非表示/違反報告)
ぼむ(プロフ) - はじめまして!とても楽しく小説読ませてもらってます!続きが気になります!お身体に気をつけて更新頑張ってください!応援しています! (2014年8月27日 17時) (レス) id: 3de67abfa3 (このIDを非表示/違反報告)
sara(プロフ) - ただなちゅんさん» はじめまして。返事が遅くなってしまいすみません。楽しみに待ってくださっているのに、とろくさい更新で心が痛みます(´;ω;`) なるべく早く更新出来るよう、頑張りますね!コメントありがとうございました* (2013年12月21日 4時) (レス) id: 1ce5ee7d5f (このIDを非表示/違反報告)
ただなちゅん(プロフ) - はじめまして!主人公とウッチーくっついてくれっっ><更新楽しみです!大変だろうけど毎日楽しみにまってますね☆ (2013年11月17日 15時) (レス) id: 8029ae8edf (このIDを非表示/違反報告)
saaaaa(プロフ) - #06 ちぃ。さん» はじめまして。そう言っていただけて嬉しい限りです!なんだか心がじわーん、と暖かくなりました!マイペースで頑張ります。よければまたいらしてください* (2013年4月27日 22時) (レス) id: 69cc8b7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sara | 作成日時:2012年8月24日 16時