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ギラギラと憎たらしいほど太陽は燃えていて、歩いているだけで、たらたらと汗が止まらない。公園の近くを歩けば、セミの声と元気たっぷりに遊ぶ子供の声が混じった夏の音が聞こえてくる。

つい1週間と少し前に麻也からもう一度連絡があり、今日が約束の日に指定されたのだった。

「Aーっ!」

涼しい電車と外との気温差で気だるくなりながらも、改札に切符を通すと、すぐ聞こえた明るい声。そちらへ視線を向けると大きく手を振る夏生がいた。

「久しぶりー!なんか痩せたよね?」

「そういうAも。大学生活って意外にハードじゃない?」

「授業にバイトにね。で、家なんか寝るためだけに帰ってる感じだし」

本当そうだよね、なんて言いながら夏生が私を連れて歩いてきたのは駅からそう遠くないバス停だった。

「A!こっちこっち!」

私たち二人が乗り込んだバスには"鹿島神宮行き"と表示されていた。少し戸惑う私を他所に夏生はカバンからお菓子を広げて楽しそうにしている。

「見て見て!2時間くらいかかるから買い込んじゃった!」

「あのさ、今から行くのって……」

「もうお分かりの通り、内田くんのところだよ」

「ですよね……」

「そんな暗い顔じゃ仲直りできないよー?」

夏生は、むぎゅっと私の頬っぺをつねってそう言った。ちゃんと友達に戻りたいって言ったのは紛れもなく私自身。だけど、いざ会うとなると不安で一杯になる。

「大丈夫、私も麻也もいるから。ね?」

ちゃんと日焼け止め塗っとかないと知らないよー、なんて笑う夏生。彼女と麻也には本当に助けられっぱなしだ。

「ありがとう」

「お返しは内田くんとの仲直りで返してよね」

「……頑張る」

彼に会いたい。だけど、会いたくない。そんな私のごちゃごちゃした落ち着かない気持ちなんか知らないで、バスはとうとう走り出した。

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設定タグ:内田篤人 , 吉田麻也 , 大津祐樹   
作品ジャンル:恋愛
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sara(プロフ) - ぼむさん» こんばんは。はじめまして。こんな暖かいコメントを頂いているのにも関わらず、相変わらず筆不精な作者を許して下さい。ホントにマイペースではありますが、更新させていただきますので、よろしくお願い致します。 (2015年3月31日 22時) (レス) id: 12f88f811d (このIDを非表示/違反報告)
ぼむ(プロフ) - はじめまして!とても楽しく小説読ませてもらってます!続きが気になります!お身体に気をつけて更新頑張ってください!応援しています! (2014年8月27日 17時) (レス) id: 3de67abfa3 (このIDを非表示/違反報告)
sara(プロフ) - ただなちゅんさん» はじめまして。返事が遅くなってしまいすみません。楽しみに待ってくださっているのに、とろくさい更新で心が痛みます(´;ω;`) なるべく早く更新出来るよう、頑張りますね!コメントありがとうございました* (2013年12月21日 4時) (レス) id: 1ce5ee7d5f (このIDを非表示/違反報告)
ただなちゅん(プロフ) - はじめまして!主人公とウッチーくっついてくれっっ><更新楽しみです!大変だろうけど毎日楽しみにまってますね☆ (2013年11月17日 15時) (レス) id: 8029ae8edf (このIDを非表示/違反報告)
saaaaa(プロフ) - #06 ちぃ。さん» はじめまして。そう言っていただけて嬉しい限りです!なんだか心がじわーん、と暖かくなりました!マイペースで頑張ります。よければまたいらしてください* (2013年4月27日 22時) (レス) id: 69cc8b7f20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sara | 作成日時:2012年8月24日 16時

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