ネタ60 紅月 ページ23
昔から私の村には言い伝えがあった｡
『赤い月が出る晩は災いが起きる』
だからなのか、村人達は赤い月を気味悪がり不吉だと言った｡私の両親も友達も長老も｡
でも私はそうは思わない｡そう思うことができなかったのだ｡
私は赤い月が綺麗で美しいものに見えてしまう｡だってあんなにまんまるで大きくて素敵なんだもん｡
周りの人に自分がそう感じることは内緒にしていた｡そうじゃないと、迫害されちゃうから｡幼いながらに言っちゃいけないと分かっていた｡
村人達は赤い月の夜は外に出ないって決めている｡無闇に出ていって、災いを被らないように｡
でも私は学校に忘れ物をして、どうしても取りに帰らないといけなくなった｡友達に先に帰るように言って、月が顔を出し始める中、急いで走った｡
教室に入った時にはもう赤い月が空に昇っていた｡
「綺麗……」
誰もいないと思って呟いたのに、後ろから声が聞こえて｡
振り返る前に、私の意識は闇に消えた｡
「本当なの、長老様！信じて！ 」
「嘘をつくな！そんな嘘に長老様が騙されると思っているのか！ 」
「嘘じゃない！私見たもん！あの夜、月に変な影が2つ帰っていったの｡その1つは絶対にあの子だった！連れ去られたんだよ！ 」
「いい加減にしろ！あの子は赤い月にも関わらず出歩いたから、行方不明になったんだ｡長老様は忙しい、とっとと帰れ！ 」
「何で信じてくれないの！？長老様も黙ってないで何か言ってよ！何でっ！ 」
扉は音を立てて閉まった｡
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赤い月って怖いけど、綺麗じゃないですか？
その魅力に取り憑かれたら……このネタのテーマです｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年1月29日 18時
