ツキプロメンバーと… (ページ9)

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志季04 ページ9

止まった志季を見上げると、顔は無表情に見えたが、目が少し悲しそうだった。

『分かった。俺は部屋に戻る…A。理由が分からないままお前に謝るなんて事はしない。だが、少し時間をくれ。』

それだけ言うとテーブルに戻り、珈琲を手に部屋を出た。

「…はぁ…びっくりしたぁ…」

緊張が解け、ふっと倒れそうになるのを大さんが支えてくれた。

(でもやっぱり、かっこいいな…)

理由も分からないで謝られるより、時間かけてでもちゃんと理由を考えてから謝ってくれる、そんな志季がかっこいいと思った。

【ほーら、俺達もお茶にしよ？後で志季のところ行ってあげるためにも、ね？】

ウィンクを飛ばしながら微笑む里津花さんに頷いてソファに腰掛けると、隣には翼くんがやってきて、

【志季と何かあったのー？アイツ、起きてきた瞬間、珍しくちょっと慌てた感じでAさん探してたんだよねー】

俺も大ちゃんもびっくりしてさー、と続けられる志季の様子にまたちょっと嬉しくなった。

(そっか…探してくれたんだ…)

【ふーん。元はと言えば誰かさんのせいでこんなことになってるんだけどな～？】

含みのある言い方で里津花さんが翼くんに視線を向け、わいわい騒ぎ出したのを横目に、後でちゃんと話し合いに行こう。と決意して、暖かい紅茶を飲んだ。

--ｺﾝｺﾝ

『開いてる』

短い返事とともに扉を開けると、ソファに横になり、顔は両腕で覆われていた。

ゆっくりと頭元に近づき、指触りの良い髪を梳き、

「ごめんなさい。」

謝った。

急に腕を上げこちらを振り返ったその顔は、驚きと不安が見え隠れする表情だった。

『何故謝る。悪いのは俺なんだろ？』

ふっと目を逸らされた。

「うーん…不可抗力って奴かな？それに勝手に腹立てて、不安になってぐちゃぐちゃ考えちゃっただけなの…だから…八つ当たり？みたいな感じで…」

起き上がって空いたスペースに座ると、志季の手を取った。

「だから、ごめん。先に説明させて貰っても大丈夫…で、しょうか？」

体ごと志季に向けて目を合わせると、バツが悪そうな表情になったものの、手を握り返してくれて、

『…分かった。』

と一言呟いた。

そして、里津花さんに説明した内容とほぼ同じ内容を伝えると、いつも乏しい表情が眉間にシワを寄せたり、目を白黒させたりと、コロコロ変わって最後には目が合わなくなっていた。

『…夢とは言え…傷つけてすまなかった』

細いのに意外としっかりしてる腕に抱きしめられていた。