大03 ページ3
そうこうしているうちに、ゆっくりと開かれた扉から大ちゃんが入ってきた。
気まずさで正面から向き合うことができず、ベッドの縁に座って床に視線を落とした。
「A?何かあったのか?」
目の前まで来た大ちゃんが中腰で心配そうに覗き込んできた。
『な、なんでもないよ?』
目が泳いでしまい、次に繋がる言葉が見つけられず沈黙する。
そんな様子を見兼ねて膝をついた大ちゃんにゆっくりと頬を包み込まれた。
「体調が悪いとかじゃ無さそうだな。…俺には相談できないか?」
包まれた頬を撫でられ、視線を上げると目が合ってしまった。
とても心配してくれている目に、罪悪感がどんどん増していく。
(ど、どーしよ…)
確かに困った表情とかは見たいとは思ったけど、自分がそうさせているって考えるとちょっと複雑な気持ちになる。
『・・・っ』
胸がいっぱいいっぱいで、キュウって音がなりそうなぐらい締め付けられ、ポロポロと涙がこぼれ出した。
「っ。」
目の前で大ちゃんが息を飲むと、ぱっと手を離して慌てだした。
眉を八の字にして困る大ちゃんにもう耐えきれなくて、
『っ!うぅ…ごめんなさいっ…大ちゃーん』
目の前で困る大好きな大ちゃんに飛びついてぎゅうっと大きな背中に抱きついた。
『心配かけてごめんなさい…大好きなのに…うぅ…』
しゃくりあげながら、何度もごめんなさいって謝ることしか出来なくて情けない。
「A?…なんとも、無いんだな?」
飛びついた時はびっくりしていたにも関わらず、大きな手で抱きとめてくれて、泣きじゃくる私を何も言わずにずっと撫でてくれていた。
それから数分、落ち着くまで待ってくれていた大ちゃんに、ありがとう。と伝えて、顔が見れる所まで離れた。
『突然泣き出して、その、ごめんなさい…素っ気ない態度も、ごめんなさい…』
目が合うとまた泣きそうになり、俯いてしまう。
すると、また大きな手に頬を包まれた。
「ああ。大丈夫だから気にするな?Aに何も無かったなら俺は大丈夫だから。だから、ほら、笑ってくれないか?」
あぁ、ほんとにこんな優しい大ちゃんを困らせようなんて…
『…うん。ありがとう。』
大好きな人の優しい微笑みにつられて自然と笑みが溢れると、また抱きしめられた。
「A…目腫れちゃったな…ちょっと待ってろ。」
頭をぽんぽんされて、そのまま部屋を出ていった。
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作者名:ぽむ | 作成日時:2019年3月5日 1時