あんスタ短編 (ページ7)

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Valentine.mao③ ページ7

それから、タオルを借りて涙を拭い、ベンチに2人揃って座ると、衣更先輩が話し始めた。

『俺さ、Aさんのこと、入学してきた時から知ってたんだよ。んで、友達と一緒にうちの部見に来てくれてたよな？それから、TricksterのLIVEの時とか、文化祭の時も生徒会で見回りしてる時にクラスで見かけてさ、ずっと気になってたんだ。それからは職権乱用して、名前を見つけたんだ。…はは、びっくりしただろ？』

全然知らなかった事実を次々と聞かされて、ポカンとしてしまう。

『そ、それと、その…さっきはごめん。勢いで名前で呼んでしまって…俺の事は好きに呼んでくれたら嬉しい。慣れるまでは今まで通りで良いから。少しずつ、だけど、真緒って呼んでくれると嬉しい、かな//』

耳まで真っ赤になった先輩は、少し照れた表情で笑った。
(照れた顔もか、かわいい！)
笑った顔に胸がキュンとして、ドキドキする。

｢わ、分かりました…真緒、先輩…//あの、私の事も、先輩の呼びやすい呼び方で大丈夫…です！｣

思い切って呼んでみたものの、やっぱり恥ずかしくて、先輩を付けてしまった。

『ああ。これからもよろしくな、A？
それと、チョコもありがとな？作るのとか大変だったよな？本当にありがとう。気持ちも、チョコも、しっかり受けとったから。』

頭をぽんぽんされ、お互い顔を合わせて微笑んだ。

｢…はい！｣

行先不安だったバレンタイン。
それでもしっかり渡せて想いを伝えられると、
今以上に幸せで、ぎゅっとした気持ちで溢れた。

勇気をだしてみて良かった。
これからの方が大変な事も多いと思う。
それでも先輩、真緒くんと一緒ならなんだって出来る気がしている。

end.