あんスタ短編 (ページ21)

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嫉妬02(燐音) ページ21

とりあえずコクコクと頷くと、そのまま2人で外を眺めた。

「HiMERUさんは、どうしてこんな事してくれるんですか？」

面倒くさそうなこと、というか、恋愛事に巻き込まれるのとか1番嫌そうな感じなのに。

『そうですね。普段なら見て見ぬふりをするかもしれないです。ですが、困っているのが貴女で、その元凶が天城なので。…と、いろいろ理由を並べては見ましたが、HiMERUは本当は、貴女と少しお話してみたかっただけなのかもしれないですね』

クスッと笑いながら優しい目を向けられ、今の私にはその言葉一つ一つがどれも嬉しかった。

「あはは。HiMERUさん、ありがとうございます。今度何かご馳走させて下さい。燐音がお世話になってる分まで」

和やかな気分の合間、背後からの刺さるような視線に気づき、はっとする。

それに気づき、HiMERUさんを見ると、アイコンタクトで頷いてくれた。

(今です)

自然な流れで少し高めのヒールをクネってみた。

「きゃっ」

倒れる！と、思い、目を閉じると、正面から抱きとめられる感触はなく

『おい、俺っちのいない所でなーに二人でイチャついてんの？』

お腹に当たる逞しい腕と、背後から聞こえるいつもより少し低めの声

(もしかして…)

『では、HiMERUはこれで』

ウィンク一つ飛ばし、事務所へと入ってしまった。

この状況からどう切り出そうかなんて考えてなかった...

『で？二人でこんな所でなーにしてた訳？』

抱きしめられたままの状態で耳元で囁かれた。

「そっちこそ…っ」

驚くほどか細い声で

『あ？』

だめだ、喧嘩をしたい訳じゃないのに

今口を開けば最低なこと言ってしまいそうｰ

「っ…」

なんでとごめんがぐちゃぐちゃになって気がつけばポロポロと涙が零れていた。

(私の馬鹿っ…泣くなんてほんと最低)

『A？おい…どうし…ｯﾁ』

抱きしめられていた手から解放され大きな影が落ちた。

舌打ち...

そうだよね、自分が情けない

『あー…そんなに俺っちといるのは嫌ってか？』

違う、そうじゃない

『ﾊｯそーかよじゃ、仕事戻るわー』

何か言わなきゃっ

手を伸ばそうとした時にはもう居なくて、少し遠くの場所でガンッとゴミ箱が派手に揺れるのが見えた。

ｰｰｰ
それからどうやってたどり着いたか覚えていなくて
気づけば雨に打たれES系列のバーに着いていた。

悪いのは全部自分だ
元はどうであれ仕返そうとしたのも、泣いて喋れなかったのも全部全部自分のせい

(明日が休みで良かった)