あんスタ短編 (ページ20)

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嫉妬(燐音) ページ20

『おっ♪プロデューサーちゃんはっけ～ん！今日の俺っちは幸先よし♪昨日はありがとな～？おかげで助かっちまったわ～きゃはは♪』

事務所の奥から聞こえてくる声に嬉しさを滲ませながら近づいて、後悔した。

(いや、まさかね？)

昨日は元々仕事終わりにご飯に行く予定をしてたにもかかわらず、
燐音仕事が押して、渋滞に捕まっちまったから、今度にしようぜ!ごめんな?
ってホールハンズで連絡が来た。
Aお疲れ様!また今度ゆっくり行こうね～気をつけて帰ってね?

仕事なら仕方ない。と諦めていた。

『まさかあそこでプロデューサーちゃんにあって、ご飯に誘われるなんてな～♪』

(え？)

こっちの約束を蹴って、たまたま会ったプロデューサーとご飯？

『おや、Aさん、こんにちは。…？どうかされましたか？』

ハッとして振り返ると、HiMERUさんが首を傾げていた。

このまま事務所に入るのも気が引けるし、でも…

(どうすれば…)

1人焦っていると、何を思ったのか、HiMERUさんが顔の前で人差し指を立て、空いた手で肩を抱かれた。

そのまま事務所の外、死角になる所まで来ると、椅子を引かれた。

「あの…？」

助けてくれた…？

『すみません、余計なお世話でしたか？何やら天城の事で困っているようにも窺えたので』

どうぞ、と温かいお茶が置かれた。

「すみません…お気遣い頂いてしまって…HiMERUさんはこれからあんずさんとミーティング、ですよね？」

慌てて席を立とうとすると、手を取られ、大丈夫ですよ。と微笑まれた。

『どうせ、天城が話しているので、遅れても問題…は、ないですが、Aさんには大問題でしたね。すみません。』

それからは、さっき聞こえてきた話をなぜかHiMERUさんにそのままお話した所、とてもいい笑顔で微笑まれてしまった。

『天城は本当に馬鹿ですね。少しだけ僕と仕返し、しませんか？』

「え？」

突然の申し出に頭が全然追いつかない

HiMERUさん曰く、天城にやられて嫌だなって思ったならそれ以上の嫉妬をさせてしまえばいいのでは？と。

(大丈夫かな…)

少し心配しながらも、HiMERUさんの案に乗ってしまった。

HiMERUさんの手を取り、窓辺へと移動すると、しれっと肩を抱かれた。

『すみません、嫌だったら振り払ってください。大丈夫そうであれば、天城が出てくるタイミングをお伝えしますので、その瞬間に躓いた体で僕に向かって倒れてきて下さい。必ず受け止めますので』