▼ ページ47
そのまま、私の部屋へ一緒に入った北斗さんは、所在なさげに部屋の隅に立っていらっしゃって、せめてシャワーを浴びたいとも言い出せない。
「……ジェス、何だって?」
北斗さんがようやく零したその一言に、私は簡潔な答えを差し出せなくて、
「……北斗さんのことが好きですって、ちゃんとお話ししました」
と何とかそれを絞り出した私に、北斗さんはほんの少しだけ表情を緩めた。
「……わかってくれた?」
とても時間をかけて選んだ北斗さんのその言葉は、私のこともジェシーさんのことも労わって下さる言葉だった。けれど、それに明確な返事を返せない私に、北斗さんは、ふぅ、と小さく息を吐いた。
「だよな……そんな簡単に諦めろなんて、無理な話」
俺だってそうだ、と仰った北斗さんは、
「でも、俺の気持ちは変わらない。Aさんが好きだよ」
「北斗さん……」
「……Aさんは?どう?」
優しく、柔らかい声でそう仰る北斗さんに、胸が痛くなる。こんなカラダで、こんな私だけど、それでも。
「……北斗さんが、好きです」
ぽろりと涙が零れるのを掌で拭うと、北斗さんはクス、と小さく笑った。
「Aさん、涙拭くときココで拭くのね」
「え……?」
そう言って私の方に向けた掌を指差した北斗さんは、
「小さい女の子みたい……たまんない、守ってあげなきゃって思う」
そう仰って、ゆっくりと私に向かって一歩近づいた。
「北斗さん、あの私……シャワー、」
「そんなのいいから」
私の言葉を遮って私の身体を抱き寄せた北斗さんは、
「待ってたんだ、ずっと……早く貴女に、触れさせて」
そう囁いてから、少し強引に私の唇を奪った。
1507人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルンバ(プロフ) - ubisiさん» なるほど、そういったものがあるんですね。返信ありがとうございます! (2022年7月25日 10時) (レス) id: 28855a1c3e (このIDを非表示/違反報告)
ubisi(プロフ) - ルンバさん» コメントありがとうございます。正式名称は『privatter』です。詳細についてはここでは控えさせて頂きますね。今後とも楽しんで頂けますよう頑張りますー。 (2022年7月25日 9時) (レス) @page41 id: f047d48436 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバ(プロフ) - いつも楽しく小説読ませていただいてます!ひとつお聞きしたいのですが、ベッターとは何でしょうか? (2022年7月25日 3時) (レス) @page48 id: 28855a1c3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ubisi | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/ubisi_0122
作成日時:2022年6月11日 0時