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「樹くん、久しぶり。元気?」
『あー、元気元気。あ、こないだツアーのケータリング、あんがとな。めっちゃ美味かった』
「こちらこそ。カオルさんも喜んでた」
『マジ?んじゃ、また頼もっかな』
「うん、もちろん。樹くんも良かったら、また店にも顔出して?」
『んあ、慎太郎がいっつも抜け駆けすっからさ』
「抜け駆け?」
そう言って、Aちゃんが俺の方へ顔を向ける。
「じゅーり、抜け駆けって何!?」
『は?慎太郎も聞いてんの?』
「ジェシーがスピーカーにしたんよ」
『お前さぁ、一人フッ軽でAの店行ってんじゃねぇよ』
「何でよ、いいじゃん。俺空き時間長いんだし」
「へっへ、俺も!」
『いや、おめェは違ぇだろジェシー!』
スマホ越しでも変わらない俺達のわちゃわちゃを聞いて、Aちゃんがクスクス笑う。そんな姿にもドキッとして、それを誤魔化すみたいに、
「樹、すぐジェシー帰すから」
と言えば、ジェシーは何で!?ってゴネ始める。でも、樹から共演者でもあるメインMCの人の名前を出されると、
「わーかった!すぐ戻るから!」
とジェシーはトンとスマホをタップして通話をブチ切りしまった。そしてギャハハと笑ってから、
「タクシー呼ぼ」
と自分のスマホを取り出した。
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作者名:ubisi | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/ubisi_0122
作成日時:2023年7月27日 19時