魂のたべもの (ページ6)

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実は、Aちゃんがジェシーを好きなこと、俺知ってんだよね。
　その想いはAちゃんが芸能界にいた頃から募らせていたものだっていうことも、引退してカオルさんのお店の手伝いをする事になってからも、今でも。
　この店でAちゃんが働いていることもジェシーから聞いたし、その時は、何だよやっぱり二人繋がってんじゃん、って思ったけど、幸か不幸か、二人の関係は俺が思っているのとは少し違ってるみたいだった。時々、懐かしく連絡を取ったりするけど、それも近況報告とかテレビ観たよとか、そんな程度のことらしかった。その内、俺の方が地元なのをいい事に、車やバイクで、ひとりフッ軽でお店まで来るようになった。
　それから、Aちゃんと話をたくさんするようになって連絡先も交換して、ジェシーよりも俺の方がAちゃんの近況を知るくらいになった頃。

「慎太郎くんだから、話しちゃうんだけど」

と、不意に口にしたAちゃんの、その先の言葉を遮る隙さえ与えられずに、

「私……ジェシーくんのこと、ずっと好き、なんだよね」

その決定的な一言を投げつけられてしまった。

　そんなことは、とっくの昔から知ってた。だって、俺だってずっと見てたんだ、Aちゃんのこと。芸能人にしては控え目で、バラエティ番組でたくさんの出演者の中の一人で、グイグイ前に出ることも出来ない。ただニコニコ笑っているだけじゃ、そこから飛び出すことなんて出来ないのに。可愛いだけならいくらでも替えがきくこの世界で図太く生きていくには、Aちゃんはあまりにも弱い、被食者だった。

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