魂のたべもの (ページ4)

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店の入口へ、ランチタイムの看板を片しに向かったAちゃんが店のドアを開ける前に、カランカランと乾いたカウベルの音がした。

「すみません、ランチタイムはもう……え、」
「あー！慎太郎やっぱココじゃん！」

　Aちゃんの声が途切れるのと同時に、聞き慣れた賑やかな声がして、俺は椅子に座ってバタバタさせていた脚を止めて、振り返った。

「は？え、ジェシー……！？」

　そこにいたのは、さっきと変わらずド派手な私服のジェシーで、大きめのサングラスを鼻の頭までズラすと、HEHE、と笑って手を振った。

「ジェシーくん……いらっしゃい」
「Aちゃん、こんにちは。俺もいい？」
「……もちろん、」

　どうぞ、と身体を半分だけ横にズラしたAちゃんと、

「あ、何かさっき外にまだ人が居たんだけど。ランチの人かな？」

俺だけ入るのマズイ？とAちゃんを見下ろすジェシーの視線が絡む。ほんの一瞬だけ、息を飲むみたいに言葉を失ったAちゃんは、

「あ……っと、ちょっと見てくるね」

とそう言って、チラリとだけ俺を見てから、顔だけをドアから覗かせた。

「あれ？さっきあの電柱の辺に居たんだけど、もう居ない？」

　Aちゃんの肩の上に手を置いたジェシーが、彼女の頭の上から同じように顔を覗かせている。思わずガタン、と椅子から立ち上がった俺の音に驚いたみたいに振り返ったAちゃんは、

「あー、うん。大丈夫」

そう言ってから、

「一旦、閉めちゃうね」

と、ランチタイムの看板を下げてから、プレートを『closed』に変えた。