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目が覚めたら、ちゃんとAちゃんに説明しなきゃな。ジェシーのことも謝んなきゃだし。
でも……Aちゃんがジェシーと寝たこと、俺知ってんだ。
Aちゃんが引退するって決めて、ジェシーと二人で会う約束をした、あの日。
きっと、最後の思い出にって、君はジェシーに気持ちを伝えて、それから全てを捧げたんだ。ジェシーは優しいヤツだから、きっと自分がヴァンパイアなことを隠して君を抱いて、忘れるはずだったAちゃんのその恋心は、余計に忘れられない執着心になってしまった。
Aちゃんが俺に話してくれた恋バナは決して報われない想いの亡霊で、そんなAちゃんを可哀想って思いながら、俺はずっと側で見ていたんだ。Aちゃんの、決して叶うことの無いその恋が、終わる瞬間を心待ちにしながら。
ジェシーがAちゃんを抱いても、彼女を噛むことはしないだろうし、俺は、そんな関係に疲れ果てたAちゃんが全てを手放す瞬間にその場にいられたらそれで良かった。こんな生活やめたいって全てを放り出したくなったその時は……俺がAちゃんを、そんな世界から救ってあげる、そう思ってた。
ちょっと予定とは違ったけど、Aちゃんを助ける王子様は、やっぱりジェシーじゃなくて俺だった。順番が反対になっちゃったけど、命と引き換えなら仕方ないって、許してくれるよね？
Aちゃんを抱きかかえて部屋に戻ると、何はともあれベッドへその身体を下ろす。……布団、汚れるから洋服、脱がさなきゃな。着替え、俺ので大丈夫かな？しゃーないよな、北斗と違ってレディースなんか着ないから持ってないし。
Aちゃんの着ていた服は人間の血で汚れてしまったから、Aちゃんを覆う手全てを手早く剥いでしまえば、Aちゃんの身体は綺麗に傷も塞がっていた。良かった、痕も残ってなくて、本当に……綺麗。あんまり綺麗だから、俺の喉がゴクリと鳴った。
「今日……満月だなぁ」
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作者名：ubisi
| 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/ubisi_0122
作成日時：2023年7月27日 19時
