魂のたべもの (ページ12)

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事務所に戻ってから、マネージャーと合流。今日の残りの予定を聞いて許可を貰って一度自宅へ戻ると、予備のヘルメットをホルダーに固定して、バイクに乗ってスタジオへ向かった。

　雑誌の撮影と簡単なインタビューは、俺がメインの映画じゃない事もあって、すんなりと終わった。メイクを落として着替えをして、時計を見上げたらまだ21:00。これなら、高速が渋滞さえしていなければクローズした後の片付けが終わる頃には店に着けるはず。明日のスケジュールと集合時間を確認してから、今日はジムでのトレーニングはすっぱり諦めてバイクに跨ると、明るい夜へ駆け出した。

　バイクのハンドルを握りながら考えた。
　昼間、別れ際のAちゃんが何を言おうとしていたのか。
　いつもの恋の相談ならきっと、あんな暗い顔はしない。
　ジェシーに番がいることを知らないAちゃんは、今日みたいにジェシーに会えたらいつもニコニコした表情を隠しきれない。会えない日がどんなに長くても、ジェシーの顔を見たらそんなのぶっ飛んじゃうんだよね。

　わかる、わかるよ。
　俺だってそうだもん。会えなくて、寂しくて、その間もずっと好きな人のこと考えてんだ。だから、会えた時はそんなしんどい思いも全部忘れちゃうんだ。

　それなのに、今日のAちゃんはしんどそうに目を伏せていた。いつもみたいな、寂しいって顔とはちょっと違ってた。だから、どうしても気になって。
　丸い月が白く光るのを背にして、俺は少しスピードを上げた。