魂のたべもの (ページ1)

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俺の好きな人には、好きな人がいる。

「お〜疲れ様でしたぁ〜！」

　外ロケでの、公式チャンネルの動画を撮り終わる。
　今日は比較的近場の横浜での撮影で、この後はそれぞれソロ仕事。北斗はドラマだし、こーちはバラエティで別のロケ。きょもは雑誌の撮影があるって言ってたし、樹とジェシーはスタジオ、ってことはいつものアレか。

「慎太郎は？」

　きょもの言葉に、こっそり向きを変えた俺はギクリと肩を震わせた。

「え、ロケバス乗んねぇの？」

　反射神経えぐっ！って思うくらいのタイミングで樹が俺の肩にグイッと手を回して、顔を覗き込んで来るから、

「俺、次までかなり時間あるからさ、ちょっと……」

と誤魔化すみたいに口をモゴモゴさせる。

「時間あるから、何だよ？あァん？」
「あひゃひゃ！樹お前、ガッラ悪っ！」

　樹の剣幕にこーちが変な笑い声を上げて、

「え、慎太郎デート？」
「そっとしといてやんなさいよ、慎太郎もお年頃よ？」

と、きょもの中学生みたいな疑問に、北斗がフォローだか何だかよくわからないことを言うから、

「いやあの……コーヒーでも飲もっかなって……」

と、ヘラヘラ笑いながら言えば、

「あー！Aちゃんのカフェ、この近くじゃん！」

と、ジェシーがデカい声でそう言いながら、俺を指さした。

「は？Aちゃん？何だよジェス、カフェって？」
「あ、いや。Cafe」
「きゃ、キャフェ？」
「No！C・A・F・E、Cafe！！」
「うるさ！」

　樹とジェシーのやり取りに、

「ほら、やっぱデートじゃん」

とドヤ顔のきょもに、

「そっとしといてやんなさいよ、慎太郎もお年頃よ？」

と、北斗がさっきと同じセリフを誰にともなく呟いてる。

「ほら慎太郎、行くなら今のうち」

　ヤイヤイと好き勝手言い出した四人を横目にこーちがそう言うから、俺はゴメンと手でポーズだけして、こっそりとその場を離れた。