シンデレラグレイ (ページ7)

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「えー！茉耀、怖っわ！！AHAHAHA！！」

　当のジェシーくんに茉耀からのダメ出しを伝えたら、ジェシーくんは楽しそうに笑ってそう言った。

　会ってんじゃん、私。

　あんなに茉耀にはカッコつけたクセに、結局またジェシーくんをレンタルしてしまった。
　前回の反省と茉耀のアドバイスを受けて、今回はコースを変更。午後から始まるデートは、夕飯とお酒も飲める少し大人モードだけど、もちろん、それ以上のことは規約で禁止されているから、所謂完全なオトナのアレコレは期待しようもないから、逆にそこは安心していて。
　ジェシーくんに会いたいな、と思う気持ちには蓋をせず、優しくて見目麗しい相手と食事やお酒を楽しめる時間を、文字通り『お金で買う』という行為でもって、深入りしないようにと自分に言い聞かせた。

「でも、良かった」

　待ち合わせたカフェで今日も人目を引きながら、長い脚を組み替えたジェシーくん。

「良かった？何が？」

　私の問いかけにへへ、と笑ってからペロッと舌先を見せたジェシーくんは、

「Aちゃん、また俺のこと呼んでくれて」

とアイスコーヒーのストローに口を付けた。

「ああ……うん、」
「楽しかったの、俺だけだったのかな？って思ってたから」

　ジェシーくんの言葉に驚いて、

「何で？凄く楽しかったよ！」

と思わず声を上げた私に一瞬驚いてキョトンとしたジェシーくんは、すぐにAHAHAHA！！と大声で笑ってから、

「だぁってさ、結局『ジェシーくん』止まりだったし。Aちゃんの気持ち、溶けなかったかなぁって思ってた」

と、テーブルに肘をついて、頬杖をついた。

「そ……れは、あの」
「ん？なぁに？」
「初対面……だったし」
「でも俺、Aちゃんの『彼氏』でしょ？」
「それは……」

　今だけ、お金の関係。
　それが真実なのに、ジェシーくんの瞳は狡いくらい真っ直ぐ、私を射抜く。