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「何これ……」
茅野の呟きが漏れる。
向こうに続く廊下には、隙間なく埋め尽くされた瓦礫の山。
垂れ下がった電線からは未だに火花が散り、時折バチバチッと音を奏でる。
「爆弾だよ」
瓦礫の山に目を奪われる俺達に向けて、後ろから机に乗り上げ眺める先生が呟いた。
どう？これで分かってもらえた？と、そう生徒達を諭すように言う。
「…先生が爆発させたんですか」
「ピンポーン！因みにね、この上にもまだあるよ」
逢沢の質問に対し、この場にそぐわないテンションで答える先生。
指を上に差しながら、爆弾はあれだけじゃない、とでも言うように爆弾の在処を伝える。
皆挙って、爆弾が仕掛けられているその場から離れようとする。
嘘だろ……。狂ってる……。そんな声が端々から漏れる。
「誰か！誰か助けて！！お願いだから、助けて！！」
瓦礫の向こう側に大声で助けを求める、秋庭凛。
それに習うかのように、他の生徒も瓦礫に駆け寄り、助けを求める。
「無駄だよ！！」
助けを求める為に声を張り上げるクラスメイト達を上回る大声で、先生は声を張り上げる。
「……教室に戻ろうか。また爆発しないうちに」
脅しとも取れる言葉を添えて、先生は教室へと促した。
怯えながら教室に戻るクラスメイトとは対照的に、先生はテキパキと黒板に校舎の見取り図を貼り付けていた。
貼り付けた見取り図に、爆破された場所の印を付ける。
「今の爆破で、君達はこの教室と隣の美術室、そしてトイレ以外は行けなくなった。完全に、退路を断たれたことになる」
…全然話についていけないんだけど………。そう、震えながら呟く魚住。
それはそうだ。
急に爆発が起こったと思えば、逃げる退路を断たれたんだから。
誰だって、こんな話にはついていけない。
「…これ……ドッキリ…だよね」
「もちろん、リアルだ」
少しの希望を込めて、ドッキリであって欲しいと言う願いを込めて、結城美咲が呟いた言葉。
それを、一蹴りするかのように現実を叩きつける先生。
「ちなみに、この学校にはさっきみたいな爆弾が、至る所に、仕掛けられている」
「この教室にも、爆弾があるって事ですか」
「1……2、3！」
サラッと、本当にサラッと、まだまだ爆弾はあるんだぞと言う風に楽しそうに先生は言う。
逢沢が質問してくれたお陰で、この教室にもまだ爆弾がある事を皆が認識した。
誰も言葉を発さない。
恐怖に支配された教室。
「分かったら、席に着こうか」
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作者名：字の人 | 作成日時：2022年6月15日 0時
