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『そういえば、大会の日。ジャージの上着を、里見に貸したんだっけ…』
『何で、貸したの?』
『あの時、色々と準備に追われてて…。なのに急遽、駐車場の警備も手伝わなきゃいけなくなっちゃって。で、たまたま会場に居た里見に、引き受けてもらったんだ』
『たまたま会場にねぇ…。た、ま、た、ま』

椅子から、里見の前にある机に乗り移り、煽るように言葉を放つ兵頭。
そんな兵頭の言葉に、里見は鼻でひと笑いし、兵頭の額にデコピンをお見舞いしながら返答をする。

『試合が中止になって、暇になったから見に行っただけだよ』
『俺は暇でも、水泳なんて見ないけどねぇ』
『何?お前らも俺の事、疑ってんの?』

里見の言葉に否定的な返しをする、光永葵。
兵頭、光永から向けられる敵意の様な眼差しを受け、里見は思った事を素直に問うた。
里見の問いに、否定的な返しをした2人が答える前に、別方向から声が掛かる。

『サッカー部の試合が中止になったのは、本当だよ。海斗は、嘘なんてついてない』
『そうだよ!海斗君は、そんな事する訳ないよ』
『海斗があんな動画を撮る理由なんて、何処にもないし』

声を上げたのは、花岡沙良、秋庭、金沢玲央の3人。
そんな3人に、よっ出ました!里見親衛隊!とロッカーで横になっていた身体を起こし石倉が茶化す。
石倉の茶化しを、花岡が慌てて否定する。

『そんなんじゃないから!マネージャーだったから、スケジュール帳に書いてあるだけだから!』
『お前、里見と別れてサッカー部辞めたんじゃなかったっけ?』
『な訳ないでしょ!ってか、今それ関係ないし!』

絶えず茶化してくる石倉に、少し怒りを含ませ、花岡が言い返した。
そんな2人を他所に、諏訪が甲斐へと静かに声を掛けた。

『甲斐、さっきから何で黙ってんの?いつも、最前線でギャーギャー喚いてる癖に』
『うるせぇ…。俺達で犯人捜しなんてしても、意味ねぇだろ。答えるのは、刑事なんだから』

甲斐は、淡々と答えた。
確かに俺も、気になっていた。
全くと言っていい程、甲斐は何も口を出さずにいた。
ここまで何も言わない甲斐に、犯人かもしれない、と疑いを持った俺はモニターに近付き、甲斐の表情をじっ…と見た。

「…特に変化はない……か。…………ん?」
「どうした?何か、気になる事でもあったか?」
「あ、いや。今一瞬さ_____」

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作者名:字の人 | 作成日時:2022年6月15日 0時

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