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『私、知ってるよ。花恋が澪奈にライバル心メラメラだったって事』
『部長なのに、話題はいつも澪奈だったもんね…』
『……………』
河合と秋庭の言葉に、言い返せずにいる熊沢。
そんな熊沢に、追い討ちを掛けるかのように、結城が言葉を放った。
『…そりゃ、あんな動画も撮りたくなるか』
クラスからの集中砲火。
熊沢の表情は、冷めていた。
だが、ここまで言われても、熊沢は激怒もせず冷静に言葉を紡ぐ。
『何でそうなるの…。翔も何か言ってよ』
『…………』
『…何で黙ってるの？』
『お前が景山を嫌っていたのは、事実だろ』
『…何それ。アンタも、疑ってるんだ…』
言葉を告げた真壁は、教壇に置いてあるおにぎりを取りに、席を立った。
それを、目で追いながら力なく呟いた熊沢。
同じ部活の仲間だからと、縋ったのが間違いだった。
真壁からは擁護の言葉ではなく、クラスメイトと同じ、攻撃的な言葉が発せられた。
信じていた仲間からの言葉は、重い。
何を言われようと、冷静で居た熊沢は真壁を追い席を立ち、真壁に向かって声を荒らげた。
『マネージャーのアンタだって、更衣室に入れるでしょ！！』
『なになに何？？まさかの、新たな容疑者？』
『って事は、2人のどっちかが犯人って事？』
熊沢の言葉に、間髪入れず反応をする石倉と辻本。
教室内で、水泳部のどちらかが犯人、という計算式が確立しつつある。
『ジャージだけで判断するのは、危険だと思う』
そこに1人、全く違う、正反対のような意見を述べるクラスメイトが居た。
その声に、クラスメイトの視線が向く。
声の主___宇佐美は、一斉に向けられた視線が気まずいのか、ほんの少し顔を背けた。
『普通に入ってきたんですけど』
『良く居られるよね。元はと言えば、全部アンタが悪いのに』
『アンタが動画をアップしなきゃ、澪奈は自 殺する事なんかなかったし、私達だってこんな目に遭う事もなかった。……え、ねぇ。それ分かって言ってんの？』
鼻で笑いながら、当たりの強い言葉を吐く諏訪。
それに続き、小宮山、水越が攻撃的な言葉で刺していく。
水越に関しては、宇佐美に近付き、目の前で脅す様に言葉を吐いた。
水越の言葉が1番効いたのか、いつも一緒に居る魚住、河合に視線を送った。
…アンタ達は、違うよね？そう思いながら。
宇佐美と、魚住達の視線がかち合う。
だが、無情にも、あからさまに視線は逸らされた。
その行動で、察しがついた。
2人も、皆と同意見なんだと。
『…あ、そういう事』
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作者名：字の人 | 作成日時：2022年6月15日 0時
