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先生は、通話をスピーカーにする事なく会話をしている為、相手からの返事は何も聞こえない。
先生はほんの少し口を閉じ、また言葉を紡いだ。
『犠牲者は、何時もは1人なんですけどねぇ。刑事さんは、捜査の、プロですから』
後に続く先生の言葉に、クラスメイト全員が驚愕した。
･
『生徒、5名の命を奪います』
･
『僕のプレゼント、気に入ってもらえましたか？……期待してますよ。Let's think』
決め台詞の様な言葉を告げ、電話を切る先生。
そのまま、何も言わずに教室を出て行こうとする。
それを、甲斐によって阻まれる。
『5人ってどういう事だ！』
『何だ、5人じゃ不服か？なら、10人にしようか』
見当違いな事を言う先生に、冗談はやめて下さい！！と、声を震わしながら、浅見沙也が言う。
その言葉に対し、先生は被せるように答えた。
『俺は本気だよ。刑事さんが可哀想だと思うなら、動画を撮った者が、速やかに名乗り出ればいい』
『名乗り出る訳ねぇだろ…』
『だったら刑事さんを信じるしか無いな』
消え入りそうな声で呟いた石倉の声に、先生は一刀両断するかのように言葉を吐き、教室を出て行った。
「おかえり。いつの間に、刑事さんと携帯番号交換したの？」
「交換してない。……文香の携帯を持っているんだ。あの刑事さんが」
「……文香さんの？何で…」
先生が美術準備室に帰ってきて早々、疑問をぶつけた。
その疑問への返答には、驚いた。
何故、文香さんの携帯電話を刑事さんが持っているのか。
どう考えても、謎が深まるだけだった。
先生も、何故なのか理由を教えてくれないし。
…とりあえず考えるのは止めよう。そう思い立った瞬間、スピーカーから声が鳴った。
『ジャージが特注品なら、水泳部の仕業じゃねぇか』
『しかも、場所は女子更衣室』
『犯人確定じゃん』
甲斐、諏訪、水越が阿吽の呼吸とでも言うようなテンポで、犯人は熊沢だと言い張っている。
3人から向けられた疑惑へ、慌てて言い返す熊沢。
『ちょっと待ってよ…。私じゃない！』
『お前がやったって言えば、誰も死なずに済むんだよ』
『本当に私じゃないんだってば！！』
熊沢の否定的な言葉に、誰も耳を貸さない。
寧ろ、死にたくないがために、犯人をでっち上げようとしている。
さらに、熊沢を追い詰めていくクラスメイト。
熊沢への攻撃が、止まらない。
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作者名：字の人 | 作成日時：2022年6月15日 0時
