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『俺がお前達の動きを見て、何も警戒しなかったと思うか？』
先生は机に足を上げ、裾を捲る。
そこには、腕時計型のリモコンが巻き付いている。
……なんで、リモコンがもう1台…。困惑した様子の里見が、自分が持っている腕時計と、先生が持っている腕時計を交互に見た。
『こっちが本物だ。それは、ただの時計だよ』
そう言われ、里見は持っている腕時計の盤面に触れた。
本物のリモコンなら爆発する。
が、どれだけ触っても爆発は起こらない。
『そんな…』
『さぁ、形勢逆転だ。お前ら全員、黒板の前に並べ』
すぐに動こうとしない生徒に、並べ。と言い続ける先生。
恐怖に脅えながら、生徒は黒板前に並んだ。
先生は1つの席に着き、壮観だな…。と呟いた。
『言ったよな。次、何かやったらペナルティだって。君達の上には、爆弾がある』
先生の言葉に、ざわめくクラスメイト。
逃げようと動けば、動くな！と先生に制止させられる。
そして、腕を捲り、時計の盤面に触れようとする。
それを制するように、声が上がる。
『やめてよ！ブッキー』
『ちょっと待って！私達、関係ないから！』
『そうだよ！やったのは男子ですよ！？』
この言葉を皮切りに、様々な言葉が飛び交う。
自分達も関係ないだとか、こいつらが悪いだとか。
自分の保身に走る、クラスメイト。
まぁ、こんな危機的状況ならそうなるよな、と俺は他人事の様に考えた。
そんな騒然とした中を、先生はハイ、ハイ。と手を叩きながら、静止を促すが止まらない。
痺れを切らした先生が机を投げた。
『お前ら聞け、おい。…これは、連帯責任だ。……さぁ、死んでもらおうか』
先生は、リモコンを押す体勢になる。
そしてそこに、声が掛かる。
『どうせハッタリだろ。……分かってんだよ。お前は誰も殺さない。いや、殺せない。…中尾だって生きてんだろ？…今の爆破だって、わざと誰も居ない所を狙ったんだろ。…お前は俺達を殺せない』
甲斐の言葉は、的中している。
だが、此処で先生がYESという訳が無い。
『だったら、試してみるか…。お前がそっから1歩でも動いたら…ボタンを押す』
また、クラスが騒然とする。
甲斐は動かない。
いや、動けないのだ。
そんな甲斐を、先生は煽り続ける。
『おい、どうした？どうした、来いよ。…ハッタリだと思うなら、リモコン取り返しに来いよ』
『……てめぇ…』
『あ？来いよ、おい』
『……上等だ』
キレた甲斐が、1歩踏み出そうとした瞬間。
『名乗り出ればいいんでしょ！』
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作者名：字の人 | 作成日時：2022年6月15日 0時
