【3年A組】僕らが過ごした10日間【男主】 (ページ29)

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スピーカーから聞こえてきた、何かがぶつかった鈍い音。
運悪く、今いる位置からはモニターが見えず、何が起こったのか分からない。
ゆっくりと身体を起こし、モニターを見ようとした瞬間___。
痛ってぇ！！！と言う大声と共に警報音が鳴り響いた。

「……痛っ。今度は何だよ…」

頼むからビックリ系は辞めてくれ、傷が痛む。
扉の向こう側からは、焦ったような声が聞こえる。
その声よりも、さらに大声が聞こえてきた。

「残念！！」

先生の声だ。
そのほんの僅か後、ガシャン！！と大きな物音が鳴り響いた。
……もう何？本当何が起こっているんだ…。
静まり返った扉の向こう。
未だに鳴り続けている警報音。
どうしたらいいのか分からず、しどろもどろしている俺。
パタリと警報音が鳴り止んだ。
扉の開く音がする。
そこから現れたのは、頭から血を流している先生。

「……血。え？血？」
「ん？あぁ、鉄パイプ避けきれなくてな」

そう言う先生の手には、鉄パイプが握られていた。
どっから持ってきたの、それ。
それよりも、早く手当てしなければ。
幸いにも、救急箱は朝使ったっきりのまま、その場に置いてある。

「先生、手当てするからこっち来て」

素直に従う先生。
椅子に座らせ、救急箱から消毒液やガーゼ、包帯などを取りだす。
先生がやってくれたように、丁寧に傷の手当てをしていく。
最後に包帯を巻き、手当てを終えた。

「ん、終わったよ」
「あぁ、ありがとう」
『とか言ってお前だったりしてーーー！！！』

モニターに繋げているスピーカーから聞こえてきた声に、2人揃って反応した。
モニターに映るのは、先程の声の主、兵頭が甲斐を煽っている姿。

『1番似合いそうだもんなぁ。〝アイツが苦しむ姿を見て興奮する〟とか』
『ンだと、この野郎…』

キレた甲斐が兵頭の胸倉を掴み、そのまま兵頭の顔面に拳をめり込ませた。
殴られた兵頭は、机をなぎ倒しながら床に倒れ込んだ。

「血の気が多いねぇ」
「んな、呑気な事言ってる場合か」

緩い先生のコメントにツッコミを入れ、再度教室が映るモニターに目を向けた。
そこには先程の騒動は鎮まり、やり逃げXの話題に変わっていた。

『ねぇ、景山さんのストーカーの仕業だとしたら、プールにもよく顔を出てたんじゃない？』
『ウチの男子は見かけなかったけど…』
『別に男の仕業とは限らないんじゃない？』

結城と熊沢の掛け合いに、割入ってきた諏訪。
諏訪の物言いに、違和感を感じた。
諏訪は続けて言葉を紡いだ。