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3年A組。
ここが俺のクラス。
教室に入れば、後ろの扉の前に集まるクラスメイト。
自分の席に向かいながら、席に座っているクラスメイトに話しかける。
「おはよ…どしたの、あれ」
「おはよ、黎。なんか開かないらしいよ」
「そうなの、この学校古いし立て付けでも悪くなったかねぇ」
「何そのおじいちゃんみたいな喋り方」
フッと笑いながらそう話すのは、諏訪唯月。
「ほんと黎は緩いよねぇ」
「机がこたつに見えてくるよ」
諏訪に続いて笑いながら話すのは、水越涼音と小宮山愛華。
「………そう？」
…そんな緩いかな…なんて思いながら、自分の席に座る。
俺の席は、窓際の1番後ろ。
所謂、特等席だ。
このクラスは奇数人数なため、必然的に1人だけはみ出る形になる。
所謂、ぼっち席。
その特等席である代わりに、ぼっち席であるところが俺の席。
その席で、後ろの扉に集まるクラスメイトを眺めながら、先生が来るのを待つ。
窓から入る暖かい温もりに微睡んでいると、ノートパソコンを持った先生が教室に入ってきた。
それに気づいた茅野が、先生に話しかける。
「先生、後ろのドアが開かないんですけど」
「とりあえず、席に着こうか」
茅野の質問には答えずに、先生は席に座るよう促す。
俺の周りに目立つ3つの空席。
「あれ、甲斐くんたちは？」
「お、間に合った！間に合った！」
先生が空席を眺めながら放った言葉と被るように、石倉光多、甲斐隼人、須永賢が教室に入ってきた。
「間に合ってない、遅刻だよ」
そう言う先生の背中目掛けて、少しは多めに見ろって！と、声を上げながら、バックキックを決めた須永。
その反動で扉にぶつかる先生。
3人は悪びれる様子もなく、笑いながら席に向かう。
甲斐に至っては、諏訪とハイタッチをしている。
「はよ、黎」
「おす！」
「はよーす」
「おはよ。須永、先生蹴んのはやり過ぎな」
「えぇ、別にいいじゃんよ」
「………いや、よくないだろうよ」
そんな会話をしながら、甲斐たちも席に着く。
「今日は大切なお知らせがあります」
いつの間にか教壇に立っていた先生が、教室を見渡しなが言葉を放つ。
そして紡がれた言葉が、俺たちを日常から非日常へと引きずり込んだ。
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「今から皆さんには、人質になってもらいます」
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作者名：字の人 | 作成日時：2022年6月15日 0時
