検索窓
今日:8 hit、昨日:27 hit、合計:40,819 hit

ページ14

戻ってきた先生は、またモニターの前に腰を下ろした。
そこに俺は近付いて、言葉を吐く。

「ねぇ、先生。楽しませろよ」
「……ふっ。あぁ、いいよ」

何に対してか、すぐ理解した先生は肯定した。
会話を終わらせ、2人してモニターに目を移すと、外を映すモニターにはこの学校の教員と、教員ではない人物が立っていた。
それが誰なのか、先生の言葉ですぐ理解出来た。

「警察の皆さん、お勤めご苦労様です!お呼び立てして申し訳ありませんが、只今、生徒にある課題をやらせています。次の指示があるまで、暫くお待ちください。もし、その間、大人しくしていなければ……」

言葉が終わるのと同時に、先生は腕時計の盤面に触れる。
__直後、モニターに映っていた体育倉庫が爆発した。
近くにいた教員、警察は、腰を屈め警戒態勢を取っている。
体育倉庫を見つめる全員に向け、先生は言葉を続けた。

「生徒達の命は保証しません。それではまた、後ほど」

一方的な会話を終わらせた先生。
まさか、校内以外にも爆弾を仕掛けていたとは、用意周到にも程がある。
たとえ、距離が離れていようが爆発音には驚く。
…急に爆発させやがって、この野郎。と、先生にバレない様に後ろから恨めしい目で見ておいた。


モニターに目を移し、スピーカーの音を聞く。
そこからは、危機感の感じられない会話や言い争う会話が流れている。
話し合いなんて、ひとつも無い。
そんな状況を変えようとする声が流れてきた。

『確かに今は、先生の指示に従った方がいいかもしれない。どうして、景山澪奈が自 殺したのか…。その理由を夜8時までに考えるんだ。じゃないと、本当に誰かが死ぬ』

逢沢だ。
何故、逢沢はこんなに冷静に指示に従おうとするんだろう。
どうしても謎だった。
今までの、逢沢の言動が。
何故か引っかかる。
理由は分からないが。
もしかして……なんて有り得ないだろう思考回路に陥る。
確信的な事なんて何も無いし、ただの勘でしかない。
だが、一度考え出すと落ち着かない。
聞くしか……ない。

「さて、俺は美術室に絵を描きに行くが、お前はどうする?」
「なぁ、先生?」
「…ん?」
「俺の勘なんだけど、もしかして…逢沢って_____」





























シャッシャッと、子気味良い音が鳴り響く美術室。
キャンパスに描かれているのは、表情のない景山の肖像画。
塗られた色も、暗い色。
出来上がったそれを、先生は迷いなくゆっくりと、カッターナイフで切り裂いていく。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
設定タグ:3年A組 , ドラマ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:字の人 | 作成日時:2022年6月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。