【黒彩】*大人の道を、君となら* ページ9
「・・・え?」
俺は、耳を疑った。
目の前の俺の彼女が―――アーヤの言葉が、到底今の俺には理解できそうではなかったからだ。
「え?じゃないよ黒木くん!・・きょ、今日こそは、わ、私の方からキスする!」
―――どうやら、俺の耳は正常だったらしい。
アーヤの拳はプルプルと震えている。
その行動に、小動物がプルプル身震いしている光景を重ねて、俺の頬が少し緩む。
「その気持ちは嬉しいけど・・いったい、どういう風の吹き回しだい?」
彼女からキスしたいと言われて嬉しくない彼氏など、いるわけがない。
だから俺も、アーヤの前だからこそ平然を装っているが、正直言うと心のうちが今すぐにもオーバーヒートして爆発しそうだった。
「私と黒木くん、キスするまでになったでしょ?私、それがすごく嬉しい内面、黒木くんにばっかりリードさせてしまってる自分が情けなくなって」
「情けないなんて・・。俺は、女性をリードするのが当たり前だと思ってるから気にしてないんだけど」
「く、黒木くんは良くても私は気にするよ!だから、今日は私からキスするの!・・・嫌、かな?」
「嫌なわけないさ。大好きな彼女さまからのキスなら、俺は喜んでお受けしよう」
・・むしろ、今すぐにでもアーヤを押し倒してキスしたい気分だった。
だが、今回はアーヤからキスをしてくれるというのだから、俺は必死で欲を抑える。
「い、いくよ!」
「あぁ、分かった」
「・・あのね、恥ずかしいから・・その、目を閉じててもらっても良い?」
アーヤは無意識なんだどうけど、その上目使いは反則すぎ。
そう思いつつ、俺はゆっくりと目を閉じた。
アーヤが俺の肩に手を置いた。
その手はプルプル震えて、キスを躊躇(もちろん、嫌という意味でなく羞恥とてきな意味だ)しながら顔を真っ赤にするアーヤの顔がすぐに浮かんだ。
顔に段々と生暖かい空気が当たってきた。
ゆっくりとゆっくりとアーヤの顔が近づいてくる。
そして、柔らかく熱を帯びたものが“頬に”当たった。
時間は短かった。
「・・目、開けていいよ・・?」
アーヤの頬は桃色付いていて、可愛らしかった。
それは本当に、可愛らしかった。
やばい、スイッチ入った。
「・・・アーヤ。やっぱり、俺からもう一度キスしていいかな」
「・・えぇ!?」
「俺さ、やっぱり雄みたいだ」
俺がそう言って髪を搔揚げながら笑うと、アーヤは本当に小さな声で「お願い、します・・」と俺の服の裾を軽くつまんだ。
【小彩】*可愛いから苛めたい* (リクエスト、ドSな小塚くん!より) →←【美彩】*俺の嫉妬心よりも・・*
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さまー - アーヤが美門って呼んでるから翼って読んでて欲しいです! (5月24日 20時) (レス) @page25 id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
pua - 砂彩書いて欲しいです!ホント面白いです!わたしもこう書けるようになりたいっ! (2021年5月18日 13時) (レス) id: b5e633d6ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆっゆっち - 黒彩もっと見たいです!体に気を付けて頑張ってください (2020年7月5日 20時) (レス) id: 14eff17734 (このIDを非表示/違反報告)
間葉 - 黒彩がみたいです! (2019年3月29日 23時) (レス) id: 8e4a69fdea (このIDを非表示/違反報告)
mimiko(プロフ) - すごく面白いです!美彩の作品をもっと読みたいです☆更新頑張ってください☆ (2018年3月25日 17時) (レス) id: 5555f18d7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルグラ | 作成日時:2017年10月27日 16時