【砂彩←小】*恋心と時間* 微 シリアス ページ7
「アーヤは、寂しくないの?」
飛び立つ飛行機を横目に、僕は問った。
「寂しくないよ。。だって、砂原はきっと戻ってくるから」
アーヤのその言葉は、本心だ。
本心だけれど・・彼女の瞳の中には、寂しさの色が確実に映っていた。
笑顔を無理して作っているのが、手にとって分かるようで、僕の心は痛んだ。
「好きな人と・・彼氏と音信不通になるのに、寂しくないわけないよ」
砂原は、アーヤを巻き込みたくない という理由で、極力アーヤと連絡を取るのは控えている。
今回は、アーヤの誕生日だからと久しぶりに帰ってきたけれど、その期間は思いの外短く、アーヤもそれに対しては寂しさを隠せないようだった。
「―――本当はね、小塚君の言うとおりで、私寂しいんだ。・・それは、きっとKZの皆も気付いていたんだろうね。・・・私、隠すの下手、だから」
「・・・アーヤ」
「でも、私が砂原のこと好きで、砂原が私のことを好きでいてくれるなら・・それで良いの。時間を共有することが難しくても、心が繋がっていれば、それで・・」
「そんなの、嘘だよ」
自分がこんなに強く言葉を発せられること、僕は今自覚した。
強気で何かを言うのは苦手だ。苦手だけれど、僕は今ここで言わなければいけないと思ったんだ。
僕だって、もうそれなりに年を重ねたんだから。
アーヤには嫌われるかもしれないけど、僕は自分の思ったままのことを言うために、口を開く。
「せっかく気持ちが通じ合えたのに、連絡も取れない。長らく手をつなげないし、一緒に時間を共有したり、2人だけでお出かけしたりもできない。僕・・・それでアーヤが傷ついてないか、心配なんだ」
「・・小塚、くん」
「アーヤが寂しい想いしてるとこを見るの、僕は何よりも辛いよ」
僕は、アーヤの笑顔が大好きだから。
KZメンバーとはしゃいだり、時々拗ねたりする、アーヤが大好きだから。
「アーヤが砂原のことを好きなのは、勿論知ってるよ。身をもって痛感してる。だけど――もし、ほんの少しでもいいから、チャンスがあるなら・・・」
息を呑み、深く吐いた。
「僕を、アーヤの彼氏にしてください。・・・誰よりも、幸せにすると誓うから」
僕は、アーヤが好きだ。
最初は気持ちに気付かず、一時期は他の娘も気になる時代があった・・けど。
アーヤの笑顔が、笑う声が、優しい雰囲気が、何よりも大好きだから。
「私・・・」
大人になって更に伸びたアーヤのブラウン色のふわふわした髪がなびいた。
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さまー - アーヤが美門って呼んでるから翼って読んでて欲しいです! (5月24日 20時) (レス) @page25 id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
pua - 砂彩書いて欲しいです!ホント面白いです!わたしもこう書けるようになりたいっ! (2021年5月18日 13時) (レス) id: b5e633d6ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆっゆっち - 黒彩もっと見たいです!体に気を付けて頑張ってください (2020年7月5日 20時) (レス) id: 14eff17734 (このIDを非表示/違反報告)
間葉 - 黒彩がみたいです! (2019年3月29日 23時) (レス) id: 8e4a69fdea (このIDを非表示/違反報告)
mimiko(プロフ) - すごく面白いです!美彩の作品をもっと読みたいです☆更新頑張ってください☆ (2018年3月25日 17時) (レス) id: 5555f18d7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:フルグラ | 作成日時:2017年10月27日 16時