【d!】さようならアメジスト【男主】 (ページ10)

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「Aくんあれやな。酒弱いタイプやんな」

『いや、本当すみません』

絶賛、謝罪中。

何故こんなことになってしまったのか。
事情を説明しよう。

それは昨夜のことであった。＿＿…

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

.

「あれ、Aくんとショッピくんやん！」

『ん？』

「あ、ゾムさん」

ショッピくんが家まで送ってくれると言うので、一緒に帰宅していると
偶然ゾムさんに会った。

フードを深くまで被っている彼は、夜道で会うと不審者に見える。

「なんやぁAくんここら辺なんやな」

『割と近かったっすね～』

「…」

世間は狭いという言葉が的確だろう。

何故かショッピくんは黙っていたが、

ゾムさんはお構い無しといった様子で自身が持っていたビニール袋から何かを取り出した。

「せや、俺これから帰ろうかと思ってたんやけどな」

『？』

「せっかくやし、一緒に飲まん？」

取り出したのは缶ビールだった。

＿＿＿＿＿＿＿

その後、俺の家で宅飲みしていたわけだが
なんと、酔った俺は帰ろうとしているゾムさんを引き止め泊まらせてしまったという。

恥ずかしい、恥ずかしすぎる。

「別にええで。帰る手間省けたし」

『ゾムさん優しすぎる…』

絶対モテるだろこの人。

それに部屋を見渡してみると、
缶ビールの空き瓶やらおつまみの残骸が綺麗に片付けられていた。

恐らくゾムさんとショッピくんが片付けてくれたのだろう。
なんて申し訳ない。

『あれ、ショッピくんは？』

「あぁ、俺も寝てて気づかなかったんやけど多分先に帰ったんちゃう？」

『まじかぁ…』

そう言えば、ショッピくんの酒を飲むペースがゆっくりだった気がする。

もしかして俺が潰れることを見越してそうしたのだろうか。

となると、片付けてから俺たちを起こさないようにこっそり帰ったということか。

(え、かっこよ)

クレバーな後輩に少しだけときめいた朝だった。