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｢ハンソラ」
VN｢ん？」
｢こういうのってどうしてる？」
VN｢こういうの？」
｢こういうの」
収録が終わって、私服に着替えて。楽屋に戻ってきたときAの眉間にシワが寄った。一瞬だったけど、しっかりと動いた表情に違和感を持つ。
カサ、と小さな音を立ててAのポケットから出てきたのは、一枚の紙切れだった。“こういうの”としか言わないから何かと思えば、そこには11桁の数字とアルファベットの羅列が書かれている。
おそらく電話番号と何かのID。きっとメッセージアプリだろうけど。
VN｢連絡先？」
｢うん。多分」
VN｢受け取ったの？」
｢受け取ったって言うか、衣装の上着のポケットに入ってた」
VN｢気づかないフリして置いてきたらよかったのに」
｢いや、それでもし変な人に拾われたら可哀想でしょ」
そんなのあっちが自分たちの知らないうちに、ましてや気付くかも曖昧な所に入れたんだから仕方ないんじゃないか＿＿とは言わなかった。
どちらかというと言えなかったに近い。
だって、そういう優しさが人を惹きつけているってこの人は知らないんだろうから。
＿＿＿青砥Aという人は、なんというか、ふとした瞬間の優しさが異様なまでに人の心に刺さる人だった。
他人に然程興味がないような顔をしておいて、誰よりも人のことを見ているから、相手が困ったときとか疲れているときとか、そういうタイミングを見抜いてくる。
この前、撮影が長引いて帰りが遅くなったときは、自分の部屋に山積みのお菓子があった。
1番手前に置かれたお菓子に＿
他にも、寝れない日に何故かAも丁度眠れないと起きていたり、人の手で遊ぶフリをして緊張を解そうとしたり、こういった話は色々ある。
それだけ？って思うかもしれないけど、案外、こういうことをされると人って気持ちが傾くものなんだと思う。
VN｢それ登録するの？」
｢まさか」
｢そんなことしたらミョンホに怒られる」
VN｢怒られなかったらした？」
｢ハンソラ、変なこと聞くね」
VN｢そう？」
Aにこれを渡した人だって、きっとその無意識な優しさの犠牲者で、被害者なんだろう。
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柊(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです！こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (
レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊
| 作成日時：2022年9月23日 17時
