・ ページ23
．
MH｢だって、そしたらもっとAと居れたでしょ」
アルバムを見つめて、Aが丁度ウォヌヒョンを見つけたところでぴたっとその動きが止まった。ん？と顔を上げたAと目が合って、そのまま瞬きを3回。
出会ったころは何でも見透かしてしまうようなこの目が嫌いだったなあ、なんて。
｢今でもだいぶ一緒にいると思うけど」
MH｢うん。まあ、そうなんだけど」
Aと過ごす時間は、Aが中国語の勉強を始めたあたりから格段に増えたと思う。「これなに？」と聞きにくることが時々あって、それに答えていたら自然と増えた。
確かAが最初に覚えた中国語の文章は、
正直、Aが中国語の勉強を始めたときは驚いた。それもジュニヒョンと自分のために。Aから直接そうだと聞いたわけじゃないけど、“あの”ウォヌヒョンが言っていたんだから間違いじゃない。
あの人は、何も知らないような顔をして、何だかんだAのことをよく見ているし、何だかんだAのことを理解している。
MH｢俺は、Aの中にどれくらいいるのかなと思って」
｢それは、…1人じゃない？」
MH｢え、そっち？」
｢ああ、容量の話？」
MH｢容量っていうか時間というか」
｢随分話が大きくなったね」
それに気が付いたときは、ほんの少しだけ悔しいと思った。
かといってその時自分がAに対して、特別何か感情があったかと聞かれるとそういうわけでもなかったから、あれは単純に子供がおもちゃを取り上げられたときの感覚に似ていたんだと思う。
｢ミョンホ」
MH｢ん？」
｢いま何考えてる？」
MH｢内緒」
＿＿＿もし、時間を巻き戻すことができたら何をしたいか。
なぜか、今ならあの時口にできなかった質問にある程度の自信をもって答えることができる気がした。
だって、家族だろうがどんなに想っている人だろうが、誰か1人の一生に自分がどれだけ存在していられるのかなんてわからない。分からないなら、その時間をできる限り長いものにしたいと思う。
『青砥Aです』
MH『徐明浩、です』
『同い年？』
MH『…多分？』
１秒でも前に戻って、少しでも早く君に出会って
その先もっと長く永く、一緒に居られるようにする。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1046人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです！こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (
レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2022年9月23日 17時
