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扉越しに焼き付いたあの日の続きを聞いているみたいだった。


結ぼうと手に取ったAの髪の毛が指の隙間からすり抜ける。

一度髪を切ったあの日からAは、極端に短くすることも伸ばすこともしなくなった。自分達の中にいても違和感のない、隣に並んでも遜色ない。そんな姿のままだった。









 「シュア」


JS「…ん?なに?」


 「ちょっとこっち向いて」


JS「…うん?」



 「自分は、みんなに会えたことずっと後悔してるよ」








自分たちと会うことが“できた”ことと“後悔”っていう言葉の言い回しは、あまり釣り合っていないように見えた。

韓国語もジュニとミョンホのために学びだした中国語に対しても勉強熱心なAがそんな間違いをするはずないのに。


ゆっくりと顔を上げれば、話の内容とは正反対に穏やかな表情のAがこっちを見つめていた。何も悲しいことなんてないのに、じんわりと歪みそうになる視界をぐっと堪える。









 「どんなに離れたいと思ってもできないってわかったときから、自分より大切なものがこの世界にあるって気付いたときから、ずっと後悔してる。

ここを選ばなければ、こんな風にシュアたちのことを考えて考えて、顔を見て嬉しくなるなんてバカなことしなかったんだろうなって思う」








伸びてきた手に頬を包まれる。

むかしは何とも思っていなかったこの手が愛おしいと思えるんだから、時間っていうのは恐ろしい。









JS「…Aはバカじゃないよ」


 「そうかな」



JS「Aがそれを後悔だって、バカだって言うなら、おれはどうなるの」


 「[シュアは大馬鹿者だよ]」








聞こえてきたのは日本語だった。何て言ったのって聞き返してもいつもみたいに態とらしく「あはは」と笑うだけで教えてはくれない。

でも今は、Aが言う後悔とやらがもう少し続いてくれればいいと思った。







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(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです!こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年9月23日 17時

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