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人って2回死ぬらしい。
Aが手に持っている本にそんなことが書いてあった。日本語で書かれているから自分が読めたわけではないけど、「どんな話?」と聞けば、Aはそう言った。
SG「Aは今日だけでもう10回くらい死んでいるような気がするのは気のせい?」
「そうだね。3人のリーダーたちに毎日殺されてるよ」
冗談めかしく言っているけれど、案外これが冗談でもない。Aの言う2回というのは、肉体的なもの精神的なものを指すんだろうけど、Aの場合は全部肉体的なもの。
伸びてきた前髪をピンで留めてあげれば、幾分かすっきりした視界にAが目をぱちぱちと瞬かせた。
「でも、スングァニは2回も死ぬことないから大丈夫だよ」
SG「それは忘れないでいてくれるってこと?」
「忘れないどころか毎日毎日思い出す度に泣いて、かっさかさになっているかも」
SG「僕がいなくなったらお肌の面倒誰も見てくれなくなりますしね」
「そうだよ。かさかさになっても誰も気にかけてくれなくなる」
いつもありがとう、と突然前髪の辺りを撫でられた。
一瞬指先が額に触れて、冬の手荒れが夏になって治ったんだなぁと実感する。Aを見つける度にハンドクリームを塗りたくっていただけあって、これは嬉しい。
何人かのメンバーには、“母親か”と笑われたけど、仕方ない。母親ではなくとも守りたいものはいくらかある。
「でも逆に自分がスングァンより先に死んだらお花よろしくね」
SG「嫌です」
「じゃあ、お菓子?」
SG「もっと嫌です」
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柊(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです!こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2022年9月23日 17時