変な顔 ページ6
side柊平
ずっと、特別だった。
物心着くより前から、そばにいた。
小学校、中学校、高校と...成長していく過程で、
周りは彼女を作ったりして恋愛を楽しんでた。
それなりに、告白とかもされて
凪咲以外に目を向けてみようかと思ったこともある。
だけど、代わりなんかいなくて...
笑顔を守りたい、そう思えるのは凪咲だけだった。
凪「.....っ、」
華奢な腕も、肩も...『女の子』として明確な意味を持って触れたのは初めてだ。
これからも、一生伝える気なんてなかった。
―――.....
好きだって...聞こえた。
私だって、柊ちゃんのことは大好きだ。
どういう意味...なの？
手を繋いだり、頭を撫でられたり...
これまで何度も触れたことはあったけど、
こんな風に抱きしめられたことはなかった。
どうしよう...、
柊「...、」
―――.....
凪咲が戸惑ってるのが分かる。
...困るなよ。
凪「...え、っと...」
そんな顔、させたいんじゃない。
「...悪い。」
凪「...私、」
抱きしめる力を緩めると、凪咲と目が合う。
涙は止まっていた。
―――.....
柊「...変な顔。」
どうしていいか、分からずにいると鼻を摘まれる。
「...なっ」
柊「ビビらせたら、泣き止むかなって思って。
...冗談だよ。」
「な、なによそれ！
しゃっくりじゃないんだから！
ホントにびっくりしたんだよ？！」
いつもの調子で、文句を言いながらも安心している自分がいた。
驚いて損した！
そうだよね、柊ちゃんが私を...なんてありえないもん。
柊「凪咲がびーびー泣くからだろ？」
「...うっ、」
―――.....
side柊平
安心しきった顔で、怒ったり、笑ったりする凪咲。
「...凪咲、何があったかは詳しくは知らないけど...何も出来ないなんてことないよ。」
凪「...！
...ありがとう。」
そうやって、笑っていてほしい。
「よし！
なら、俺帰るからな。
...もう、泣くなよ？」
凪「...うん！」
凪咲の笑顔を見届け、部屋を出た。
―――.....
柊ちゃん...ほんとにありがとう。
「...大好きだよ。」
柊ちゃんの、幼なじみでいられて私は幸せ者だ。
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作者名：美波 | 作成日時：2020年6月23日 20時
