子どもの頃から、ずっと ページ5
―――.....
「...なに。」
柊「なに、じゃねーよ。
泣いてたろ？...どうした？」
さっきまでの、有無を言わさない雰囲気はなりを潜めいつもの優しい柊ちゃんだ。
「...別に、どうもしないって！
泣いてないし！」
目線を合わせるように、覗き込んできた柊ちゃんから逃げるように目を逸らす。
柊「.....」
私の態度に、むっとするわけでもなく優しく目元に触れられる。
「...っ」
柊「...何年、お前といると思ってんだよ。
俺を誤魔化せるわけないって。」
―――.....
side柊平
ようやく、ドアを開け出てきた凪咲の目は赤かった。
どうして、泣いてるんだ。
誰に泣かされた。
感情のままに、凪咲を問い詰めたくなる衝動を抑え、努めて冷静に問いかける。
必死に、泣いてたことを隠そうとする凪咲。
俺が、お前を一人きりで泣かせるわけないだろ。
なんで、隠そうとするんだよ。
―――.....
柊ちゃんの前では、嘘や強がりは通用しない。
「.....っ、ふ...、」
ボロボロと、零れる涙はもう止められなかった。
柊ちゃんと、那ちゃんは...
こうやって必死に隠そうとした涙に、
私自身より気づいてくれる。
泣かせてくれる...だから、バレたくなかった。
自分で頑張るって、もう守られてばかりじゃなくて...強い女の子になりたい。
智樹先輩を好きになって...マネージャーやるって決めた時から思ってたのに...。
「...ごめ、ん。
柊ちゃん...すぐ、泣きやむから。」
痛くなるくらい、擦っても止まらない。
もう、嫌だ。
私はちっとも強くなんかなれてない。
―――.....
side柊平
目の前で、ボロボロと泣き始めた凪咲。
「.....っ」
分かってるよ。
高校生になって、凪咲が頑張ってるところを山ほど見てきた。
もう、守らなくても、手を引いてやらなくても...ちゃんと自分の心で感じて、自分の足で歩いていけるんだろ...？
でも、そうやって泣いてたら...
苦しんでるなら、俺は...っ
気付いたら、凪咲の腕引き抱きしめていた。
―――.....
「...え、」
柊ちゃんに、強く手を引かれたと思った瞬間、抱きしめられた。
「しゅ、」
柊「...きだよ。」
頭の上から聞こえた言葉に、ドクンと心臓が脈を打つ。
「...今、なんて...？」
柊「...子どもの頃から、ずっと凪咲のこと好きだ。」
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作者名：美波 | 作成日時：2020年6月23日 20時
