夏恋-ナツコイ- III (ページ27)

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インタビューページ27

―――.....

将「...見に行く？
智樹のインタビュー。」

智樹先輩の背中を見送っていると、将先輩が悪戯っぽく笑う。

「いいんですか！？」

将「別に問題ないですよね？キャプテン。」

涼「ん？あー...騒ぐなよ？」

智樹先輩より先にインタビューを終え、荷物を取りに来ていたキャプテンが答える。

真「俺も行く♪」

インタビューが行われている場所まで、
先輩たちと重い荷物を持って歩く。

智樹先輩とインタビュアーの女性が目に入った。

―――.....

side智樹

今なら、言えた気がする...。

『鈴村投手、お疲れ様でした！』

「...ありがとうございます。」

地元テレビ局のインタビュー。

こういうのほんと苦手なんだよなぁ。

『今日は、なんと言うか鬼気迫るとでも言いましょうか...すごいピッチングでしたね。』

「そうですね。
甲子園がかかっていましたし、気合いは入っていたように思います。」

『相手も強敵だったと思いますが、
なにか意識された所はありますか？』

「...強力な打線であることは、分かっていました。
打たせないことより、後ろの守りを信じて普段通りに投げることを大事にしました。」

なるほど！と笑顔を見せた女性は普段はテレビでしか見たことがない人だ。

―――.....

やっぱりかっこいいなぁ...。

今更、月並みな感想しか出てこない。

インタビューに堂々と答える智樹先輩を見ながら思う。

真「花下、かっこいいなぁって思ってるだろ？」

横から真護先輩に肘でつつかれる。

「...う、はい。」

将「素直か。」

「...なんだか、ちょっと遠くに感じちゃうレベルでかっこよくて困りますね。」

私の呟きに二人の目がほんの少し見開かれるのが分かった。

―――.....

side智樹

『では、最後にもう一つ聞かせて下さい。』

ようやく最後か...申し訳ないが、そう思ってしまう。

「...はい。」

『これから甲子園が始まりますが、
改めてどのような夏にしていきたいですか？
意気込みをお願いします！』

どのような...か。

予想していなかった質問に逡巡し、視線をほんの少し泳がせた時...花下の姿が目に入った。

覗き見かよ...。
大方、将あたりが連れて来たんだろうな。