甘いコーヒー ページ15
―――.....
「...もう、朝」
上手く眠れなかった...。
雛さん､会いに行ってくれるかな。
部活行かなきゃ。
今日は、土曜日。
決勝戦は明日に迫ってる。
母「おはよ。」
リビングに向かうと、お母さんがもう起きていてコーヒーのいい香りがした。
「おはよ...」
母「...凪咲に甘いコーヒー入れてあげよう。
顔洗っておいで。」
どんなに普通ぶっても、私が元気がないことにお母さんは気づく。
そうな時は決まって甘いコーヒーを入れてくれる。
「うん、」
母「はい、どうぞ。」
洗面を済ませ、テーブルにつくと手元にカップが置かれる。
「ありがとう」
母「凪咲のお父さんもさ、野球部だったんだよ。」
「...え、」
正面に座りながら、お母さんが話し始める。
お父さん...？
母「野球バカで､真っ直ぐで...前のめりに努力する人だった。」
...似てる、智樹先輩と。
母「お母さんが、野球に少しだけ詳しいのはお父さんの影響。
...何かって言うと、野球のことばっか話してる人だったから。」
「...、」
母「...凪咲､大丈夫だよ。」
何も言わない私にお母さんは、優しく笑いかける。
母「...頑張ってる人の傍にいると、自分が何もやれてない気になる時があるかもしれない。
でも、凪咲はよくやってる。
頑張ってるよ。
...自分が信じれないなら、凪咲を信じてるお母さんを信じなさい。」
最後に頭を優しく撫でられた。
「...ぅんっ」
―――.....
side智樹
腹減った...かも。
何もしてないくせに。
部活、行けなかった。
決勝戦は明日なのに...、
時計を見ると、とっくに練習が始まってる時間だ。
自分が情けなくて、泣きそうになる。
「...！」
来客を告げるインターホンの音で、現実に引き戻される。
両親は仕事、姉ちゃんは...部活だろうから、
俺が出るしかない。
そう思い、重い体を起こし玄関に向かう。
「はい...っ！？」
相手を確かめずに玄関を開けたことで、
文字通り心臓が飛び出るほど驚く。
「なん、で...」
？「...おはよう。
久しぶり、だね。
1年ぶりくらいかな？」
「雛...、」
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作者名：美波 | 作成日時：2020年6月23日 20時
