見てれば ページ35
｢未織！部活いこ！｣
放課後､未織とグラウンドに向かうのが毎日の当たり前になった。
未「うん！」
「サッカー部どんな感じ？｣
未｢んー、紫さんがいるからマネージャーの仕事はだいぶ出来るようになってきたよ。
でも､サッカーの細かいルールとかはまだまだ勉強しなきゃって感じかな。｣
鈴華高校には､校舎を挟んで二つのグラウンドがある。
体育館も大きさは違うが､第1〜3まであり､季節や天候によっては野外の部活動も体育館で調整をすることも少なくない。
体育館や武道場の前を通り過ぎた先がグラウンドだ。
ちょうど､体育館前の水道に差し掛かった時､幼なじみの二人が目に入った。
｢柊ちゃん､那っちゃん！｣
那｢おー､凪咲！未織ちゃんもお疲れー！｣
未｢お疲れ様です。
今日お二人早いですね。｣
柊｢HRさくっと終わったから。｣
那「凪咲､野球部どうだよ？」
「楽しいよ！あ､もう行くね！
二人ととも､未織に変なことしないでよ！」
未｢な､凪咲！｣
「じゃあ､未織！
帰り時間が合えば一緒に帰ろうね！」
那「わけ分からんやつだなー...」
走り始めていた私に那っちゃんの声は聞こえなかった。
side未織
凪咲ってば､なに言ってんの...。
柊「俺らのこと何だと思ってんだよ、あいつは...」
呆れようでも､柊平さんの視線や口調は､
どこまでも穏やかで優しかった。
「でも､凪咲のあんなところも好きなんですよね？」
凪咲の後ろ姿を見つめる柊平さんに問いかけた。
柊「！
...うーん､未織ちゃんには何でも見抜かれちゃうね。
」
那「...､」
那智さんの洞察力には負けますけど。
未｢ふふっ
見てれば分かりますよ。｣
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作者名：美波 | 作成日時：2020年5月4日 14時
